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近年、都市化が進む中でライフスタイルの変化が進み、地域の伝統行事が旧来の形では市民生活をつなぐ役割として存続することが困難になっているという声も聞かれます。
東大阪市では、地域を支えた農業の発展と豊穣を願う行事が、神社の年中行事として位置づけられ盛んでした。その今日的な姿を追って、市民の立場から枚岡神社の年末年始の行事をレポートしました。
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酒野 通信員
村上 通信員
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| 一 |
「わっははー」と笑う注連縄掛神事 12月25日 |
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年の瀬の12月25日、境内には「注連縄掛神事」の三本ののぼりが立っています。
朝の9時前、白装束の10人ほどの氏子総代が現われました。注連縄掛の始まりです。
「3日前までに藁を集め、縄を組む用意をしておくんですよ」と、氏子総代の一人、額田町在住の上野さんはいいます。
「私らの時代とは縄の編み方も随分変わってきました」とも。
出来上がった長さ8メートル、大根締めの注連縄は、古いものと取替えられます。縄の真ん中に揚巻結びの飾りを3つ取り付けて作業は完了します。
*最近は藁の入手が困難になっています。機械化で藁は短く裁断されるので、神社が長い藁を富田林の方に依頼しています。
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長さ8メートルほど。
大根締めで作られる注連縄 |
真ん中に飾られる揚巻結び |
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新調なった注連縄の前で、奈須光興宮司が神事を行います。
祝詞のあと、宮司が「わっははー」「わっははー」「わっははー」と大きな笑い声を発し、みんながそれに続きます。とても珍しい光景です。
この所作の由来は不明ですが、邪気を払い、豊かな稔りと草木の成長を願う人々の気持ちが込められているのではないでしょうか。
この宮司の高笑いは、太陽を元気付けて春の到来を誘っているかのように感じました。
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| 宮司の音頭でみんなも「わっははー」 |
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注連縄掛を見守っていた人たちに話を聞いてみた |
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朝5時ごろ箕面市から自転車できました。神事に興味があり、各地の寺社を見てまわっています。年末には京都に6回ほどいってきました。東大阪の祭りに関しては、まだ未開拓ですが、今回の行事は非常に面白味がありました。
下井喜信さん(39才) |
市内友井からきました。春に会社勤めを辞めたのを機に、今住んでいる東大阪市を見つめ直したいと思い、趣味のカメラを持って自転車で回っています。今日の珍しい神事もちゃんとカメラに収めました。
松居正博さん(70) |
3年前にベルギーのルーウェンからやってきました。現在、枚岡神社の近くに住んでいます。他の日の行事にも来て、カメラにとっています。
コルト・ビンセントさん |
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地元自治会住民の力で注連縄掛をすると聞いて、1月3日に取材に出かけました。
ここは、一の鳥居がある鳥居町。秋郷祭の布団太鼓の宮入りは、この大きな石造りの鳥居をくぐることから始まります。そばの石碑には「享保年間に建立以来、弘化3年6月に注連縄掛等取り付けの手を加え・・・」とあり、注連縄掛行事が約200年間も続けられてきたことがわかります。
朝8時、鳥居町在住の皆さん40名ほどが、太鼓小屋の前に集合。
前には、秋に収穫したしめくさ(藁)が山のように積まれています。
男衆は二手に分かれ、一方はしめくさの渋とり、もう一方は注連縄作りを担当します。「もっと力を入れて!」という声もかかって、手際よく作業が進みます。「あいつ、このごろなにしとんねん?」という世間話にも花が咲きます。
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今年、八十八の米寿を迎えた鳥居自治会長の遠藤清衛さんは、陣頭指揮をとり、元気な足どりで自治会館と現場を何度も往復します。
ようやく出来上がった注連縄に、遠藤会長がお神酒をかけます。これを数本の長い棒で担ぎ上げ、鳥居に取り付けました。
新調された注連縄の前で枚岡神社の神職が祝詞をあげ、「一の鳥居」の注連縄掛が終了しました。
大仕事が無事終わってやれやれの雰囲気。そこでソワソワと気になるのは、早朝から女性たちが腕によりをかけ準備してくれているお鍋のこと。
この後、さぞ和気あいあいの雰囲気で町内が盛り上がるのでしょう。
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| 注連縄を担ぎ上げる男衆 |
作業を見守る遠藤会長 |
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| 三 |
「粥占い」って何? 1月11日〜15日 |
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枚岡神社には、珍しい「粥占い」という珍しい行事があります。約700年前から始まり、府の無形文化財になっています。
現在は1月11日に占いの神事を行い、その結果を「占記」にして小正月の1月15日に配ります。
何を占うのかというと、農作物の豊凶と一年間の天候です。やはり、農業に縁の深い行事です。
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1月15日の小正月に配られる「占記」
農家の人たちは、春からの農作業の参考にしたのでしょう。ここには、今では栽培されなくなった「あおわた」「あかわた」の珍しい名も見られます。
今年のわたは、上・上・上・中と、その作柄は良いと出ています。夏は晴れの暑い日が続くということでしょう。晴雨占いでも、春から秋にかけて雨をあらわす黒い色は少なく表されています。 |
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| - 独特の占い方 - |
| 農作物の豊凶占い |
大釜で小豆粥が炊かれている中に、15センチほどに切りそろえた竹筒(占竹)53本を蔦で一束にしたものを入れ、吊り下げます。後にそれをひきあげ、それぞれの竹筒を割って、中に入り込んでいる粥のようすを見て占います。
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| 一年間の天候占い |
黒樫でつくった12本の棒(占木)をかまどの口に入れ、その焦げ具合で晴雨を占います。シューッと木から吹き出す蒸気で風のようすがわかるといいます。
*正確には、かまどで出来た熾き火で占木を焼きます。
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| 神事に使う材料。中央の青竹は占竹 |
大釜の前で占う神職 |
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- 健康をねがう粥の味 - |
参拝者に粥が振舞われるこの日、昔はお正月以上ににぎわっていたそうです。ことに、植木の出店で賑わい、暗峠の登る旧奈良街道のあたりまで植木の店が並んでいたほどです。
鳥居町の石橋勇さんは「昔は、14日の晩に家の注連縄飾りや門松を集め、青竹や木を組んで大とんどし、その火種で15日には小豆粥に餅をいれて食べてました。」と懐かしそうに語っていました。
近くの小学生たちも見学に訪れており、いつになくにぎやかな雰囲気でした。
午前11時ごろ、参拝者みんなに小豆粥がふるまわれました。記者も熱い粥をフーフー吹きながら食べました。この粥を頂くと、健康で一年間過ごせそうです。
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取材後記 |
珍しい行事を体験できました。しかし、地元の人の参加が少ないようです。灯台下暗しといいますが、地元でも知らない人がかなり多いのではないでしょうか。農業人口の減少や生活習慣の変化が背景にあるかもしれません。しかし、「粥占い」に小学生たちが参加していたのは心強いことです。
「注連縄掛」に、氏子総代として自治会の会長さんたちが参加し、作業していましたが、たいへんな苦労だと感じました。
「一の鳥居」の注連縄掛では、鳥居町独自でこの取り組みを続けている現場を見せてもらい、地元の心意気というものを強く感じました。
早春のこの時期、1月15日の蹴鞠奉納、2月3日の節分祭、3月1日の梅花祭など、市民にも楽しめる行事が目白押しです。
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