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ほのぼのいい話                                      2007年9月21日掲載




夢みるちから

 東大阪市立日新高校は今年、大阪高校ラグビー大会の「シード権」を取ったと、新聞に大きく報道された。
 トーナメントで試合を立ち上げてゆく同大会は、初戦から強豪間でつぶし合いをするという事態を避ける
ために、シード校ABC合わせて12校を選んだ。その中の一つに位置すると評価されたわけだ。
 3年前初めてクラブ活動にラグビー部を創設し、今年1年生を迎えて総勢やっと20人になったというチームが、上位ランクの快挙。一体どんながんばりをしたというのだろう。
 生駒山の麓にたたずむ小さな公立高校で、いまフレッシュな青春の息吹が生まれている。





 小兵たちのかけ声

 9月16日(日)は朝から西の六甲山付近に早くも入道雲が立ち上がる猛暑。
 花園ラグビー場トライスタジアムでは、炎のような日差しの中を赤とんぼが泳ぐように飛び交っていた。
 午前10時きっかり、大阪府立茨木高校と、日新高校の練習試合が始まった。
 この日は、クラブ活動にあらかじめ強豪とされる人材を集める「有名私学」とは様相を異にする、似たもの
同士公立高校間のたたかいである。だが、明らかに進学校と言われる茨木の方に、一回り大きくてがっしり
したラグビー選手らしい生徒が居並ぶ。
片や、日新高校は、小柄に見受けられる子の比重が多くて痛々しげに感じさせる。しかし、円陣を組んで
「おう!」とかけ声の大きさは負けてはいなかった。

監督の目が輝く
  
「監督の目が輝いて」


 どうなることだろうと、固唾をのむが、 監督の教諭坪内貴司氏は平然としたものだ。
「部員獲得が一番の苦労だから。大きかろうと小さかろうと、上手下手もこだわらない。ウチの部員は3年間ラグビーを続けてくれる、それだけで合格です」
 3年前は11人でスタートした。今その子達が3年生で8人残っている。「あの子らのまじめなひたむきさが、やがては、強いチームを作ることにつながると信じていた」と断言した。
 
 生徒たちに勝るとも劣らない日焼け具合で、目がキラキラ輝くこの監督の妻は、なんと午前4時に3人目の男の子を出産したという。「また、男やった」と、にこやかに頭を掻いた。彼は昨夜一睡もしていないはずだが気振も見せず「突破、突破を狙え!」「何でそこを引くか、コラ!!」とかけ声の迫力はすさまじい。
                         試合は日新高校優勢のうちに進んだ


ボールを追う選手たち



 信じられる・腹の底から


 がっしりと精悍な体つきのキャプテン李修平君は、3年生で大阪市内から登校している。兄も日新高校出身で「いい学校ですよ・・・」と言ってニッと笑った。正面から目を見て人と話すことが身に付いているようだ。
 李君は、もともとサッカー好き。一年生の時サッカー部にいたがラグビー部創設で先生からいきなり声を掛けられ、応じた。チームのまとめ役としてここまでやってこられたのは何が一番大きいかと聞いたら、迷わず即答した。
 「先生の指導が、腹の底から信じられたから」と。
 ほとんどの生徒がラグビーをやりたいと思っていたわけではない初心者ばかりの集団で、練習の時キャプテンが心がけたのは、「自分は初心者という気の弱さの克服」と、試合の時は「相手も同じ高校生だと思うこと」だという。
李君


  
「めざすところは・・・」

 見るからに健康そうな体躯でホワードの後田幸太君も3年生。
チームの中では例外に近いが中学校からラグビーをしていた。
監督の坪内先生の指導を受けていた。監督が請われて日新高校に転職し、後田君は日新高校を受験した。監督とのつきあいは6年目になる。「しんどさも楽しさも一緒に味わってきた」

 しかし、3年生には進路の問題が迫っている。
 キャプテンは「僕はO体育大学に行く」と言い切った。
 後田君に同じ質問をした。
「僕はS大学工学部に行く。ただし、ラグビーの大会準決勝に日が
入試日程に重なっていることが判ったので、受験はB日程を受ける」というのだ。
 二人の人生の選択にラグビーが、このように位置づいていた。
まだ確定の要素がない進路について問われ堂々と「行きます!」と
応える明快さに、一点の曇りもない。

後田君


 
  「自分の課題とラグビー」

 顧問の教諭・鶴井光裕氏は言う。「後田君は、激しい練習をこなしてなお、受験の補習も頑張っている。ウチからS大学受験は、なかなか険しいのですよ、彼はキット頑張るでしょう」。もちろん、チームの3年生の中には就職する生徒もいるという。
 鶴井氏は1年生2年生の生徒にも言及して、多様な自分の課題を持ちつつラグビーをやることを貫いている生徒たちの姿も温かく見守っているようだ。

 「自分の課題とはどんなこと?」との問いに、家庭の貧しさと闘っている子、身体が細くて小さいが決して弱音を吐かない子、身体上のハンディキャップを乗り越えようと努力している子のことなどを、教育者としての配慮をふまえて応えてくれた。 「みんないい子ですよ」。




   勝てる!
 炎暑のなか、氷と水はいくら足しても足りない。
マネージャの女子生徒と試合に出なかった部員が黙々と補給を続ける。この夏は長野県「菅平」で合宿も敢行した。7戦7勝だったという。
 クラブの年間予算は10万円。足りるわけがない。
 父母による「保護者会」の援助も得ている。
「カンパ物資にTシャツーの販売もしていますが、利益はもう一つで・・・」と苦笑いをするのはコーチとして派遣された奥井幸史(よしふみ)氏、日新高校事務吏員。
生徒達から絶大な信頼を寄せられて、様々な苦労を縁の下から支え、技術指導もきめが細かい。生徒達が熱中症にかかったときの対策として、近くに一室用意の手配も確認していた。
「このチームはもっともっと強くなりますからね。見ていてください」
奥井さん


      この日の練習試合は日新高校が半ばから攻勢に転じて、トライも決まり、得点を重ねた。

攻勢に転じた


    

  走って、走って

   残暑は厳しいが、すでに大会日程は始まっていて、一回戦が行われている。
   キャプテンの李君は、秋の大会に向けての抱負を次のように語った。
  「一戦一戦大事に勝ち進みたい。チームのコミュニケーションを大事にしてゆく。
  意志の強さをしっかり持てば、大丈夫勝てる。とにかく、走って、走って、走りきる」。
 
 ユニホームを脱いでおそろいのTシャツに着替えた選手達の背中には、「夢みるちから」と書いてあった。

集合


                                                     (記者 I)

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