今どうなってるの?!東大阪
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ホットなニュース2012年3月7日掲載




忘れてはいけないこと
 
 
この3月11日(日)で、東日本大震災からまる一年が経ちます。災害で亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。
 また、遅々としている復興対策や原発災害対策が、これ以降、人々の期待に応えて迅速に進みますよう強く願います。



大地震と巨大津波による被害    写真:辻恵子氏提供

    東大阪市から緊急消防援助隊派遣
               写真:消防局予防広報課提供
 
 
本は、世界でも特異な「地震国」です。先般、新聞紙上で、「マグニチュード(M)7級の大地震が4年以内に起こる確率は70%」という東京大学地震研究所の試算が報じられました。昨年の大地震で、日本列島全体にかかる力のバランスが変化して、列島全体が太平洋側に引っ張られて不安定になっているようです。
 私たちとしては、被災地復興をめざすとともに、わがまち東大阪の震災対策を真剣に考える必要があるのではないでしょうか?!

近畿圏はどうか

 震には二つのタイプがあるといわれています。一つは、活断層による「直下型地震」。もう一つは、プレートの動きによって起きる「海溝型地震」です。海溝型が直下型を誘発し、連動することも考えられます。


<資料>活断層等による地震の重ね合わせ震度分布 中央防災会議     クリック:大阪の詳細図

    <資料>内閣府・防災担当  クリック拡大
 の地図は、活断層による「直下型地震」での各地の揺れやすさの予測を示すものです。
 
 私たち東大阪にもっとも近い活断層は、「生駒活断層」と、「上町活断層」です。
 
 左の図は、上町活断層帯でM7.6級規模の地震が発生したときの被害予測の一例です。この通りになるというわけではありませんが、こういう考え方もあるという参考にしてください。
 
 
の図は、プレートの動きによる「海溝型地震」の予測図です。
 
 南海トラフ沿いの、南海地域
(X)・東南海地域(Y)・東海地域(Z)の3つの地震帯が示されています。

 今までの地殻の歪の蓄積からして、この3つの地域で同時に地震を起こす「連動型巨大地震」の可能性を示唆しています。ある研究では、30年以内に起きるといわれています。


 

         資料:防災システム研究所
 列島の状態から、関西そして東大阪は、「決して安心を保証されていない」という前提で考える必要がありそうです。

東大阪は・・・?
菅野耕三(すがの・こうぞう)さんに聞く
 
 
今年の1月、「東大阪市防災講演会」主催東大阪市、地盤工学会関西支部)が開催されました。
 そこで講師の一人を務められた
菅野耕三さを、自宅のある奈良県北葛城郡広陵町に訪ねました。



菅野
さん



よろしくお願いします。



遠いところ、ご苦労さまです。


早速ですが、今回の東日本大震災についてお聞かせ下さい。
        菅野耕三氏 プロフィール
大阪教育大学名誉教授・専門は地質・古生物学
日本列島の形成史を研究し、地盤災害に精通。
執筆・講演活動のかたわら、小・中・高校への
「出前」授業を行い、若い世代の育成に尽力され
ている。


菅野
さん

率直にいって、貞観地震(869年)の研究成果が生かされていないのが残念です。阪神淡路大震災でも、藤田和夫(大阪市立大名誉授)さんらの「六甲変動」の予知研究が生かされませんでした。



菅野
さん








菅野
さん

阪神淡路大震災の時はどんな研究活動をされていましたか?

調査団の一員として被災地に入りました。被災者の方から、「こうなる前に、なんで地震のことを知らせてくれなかった」と、厳しい言葉が返ってきました。そのことがきっかけで、今の活動があります。

そうだったんですか!今回、東大阪市民にも基礎知識をぜひお願いします。

それでは、活断層、軟弱地盤、浸水の話をします。

  


     小学生を前に「出前授業」のようす
 
活断層について 軟弱地盤について 浸水について
 東大阪には何本かの活断層からなる生駒活断層帯があります。東西からの圧力で生駒山の西側はせり上がり続けています。
 奈良側はなだらかで大阪側は急斜面なのはそのためです。活断層ですから、いつか大きく動くことを想定する必要があります。
 おまけに、山裾は1億5千万年前の花崗岩で、
風化がすすんでいます。がけ崩れなどの危険に備えるべきです。
 大阪平野は、もともとが海の底です。泥や砂礫が何層にも重なった軟弱な地盤で、液状化が懸念されます。
 
東大阪にはその中でも、鋭敏粘土層というひじょうに柔らかな地盤が多くあります。
 また、
造成地では、盛り土をした境界や、地層が走る方向に並行する斜面側(流れ盤)は気をつける必要があります。私たちは造成地の現場にも出かけ調査します。
 直接地震とは関係ありませんが、東大阪は浸水しやすいところです。浸水対策は進んでいるようですが、近年の雨の降り方は尋常ではありません。
 マンホールから水が噴き出すということも想定する必要があります。流れる水は危険ですから、外に出ず、家の高いところに避難してください。
 集中豪雨による
地すべりも警戒する必要があります。

 



菅野
さん








菅野
さん

市民のみなさんに日頃心がけてほしいことがありましたら。

 家具の固定、水の確保、家族の避難場所の確認など普段から自分を守ることを心がけてください。日頃から、アメやチョコレートをポケットに入れておくだけでも、いざというときのカロリー補給になります。
 阪神淡路大震災では、ある町で家屋の倒壊が起き、たくさんの方が生き埋めになりました。けれども一人の死者も出さずに全員救出されました。町の防災意識が高く、住民をしっかり把握していたためです。町の共助も大切です。

どうもありがとうございました。


お役に立つなら、どこにでも出かけるつもりです。




普段の心構えとは・・・
  

          東大阪市消防局全景
 野さんのおっしゃる「普段の心構え」を体験学習ができる貴重な場所が東大阪にありました。若江岩田駅の北にある東大阪市消防局防災学習センターがそれです。市外からも多くの利用者があります。
 
 取材に訪れたこの日は、東南アジアから来日し、大阪で働き学ぶ人たちが来館されていました。その方たちに同行取材させてもらいました。館内の様子を動画でご覧下さい。

体験学習後の感想は?

 ミー・ティエンさん ユオン・ユンさん 清村ロアンさん
                      (通訳)
 ミー・ティエンさん
    ベトナム(23歳)

 
 火事の時の消火や、地震の時にするべきことがわかりました。
 役に立つことを楽しく勉強できました。もしものとき、覚えたことを役立てたいと思います。

 
ユオン・ユンさん
     ベトナム(20歳
 

 日本に来る前から地震が多いことは知っていました。
今日は、おもしろく体験できました。地震になったら、どうしたらいいか
方法がわかりました。



 の防災学習センターは2008年(平成20年)に開館し、のべ4万1千人の来館者があるといいます。個人だけでなく団体での来館も多いようです。消防局予防広報課司令長の立花充司さんは、「災害の怖さをあらためて認識してもらいたい」と、油断を戒めます。自分たちを守る方法を学べる施設として活用したいものです。
 
防災学習センター案内ページ←クリック

    地震体験コーナー 
           みなさん固まっていました

町の防災を目指す

          活動成果発表会にて
 日の3月3日(土)、市役所で行われた地域まちづくり活動成果発表会で、市民サイドで町の防災に取り組む団体代表と出会いました。
 新池島で活動する「2019RWC・ShinIkeshima・『遊』・Space」です。通称、「新池島・街づくり研究会」(以降研究会
 話を聴かせてもらったのは、自治会副会長でもある
篠原正さん。
 篠原さんいわく、「新池島は、津波以外のすべての災害に備えないといけません」。多少、オーバーにしても、市の危機管理室が発行している「ハザードマップ」では、確かに、洪水の危険地と評価されています。
            洪水・土砂災害ハザードマップ一部←クリック
 
 
治会と連携しながら活動する「研究会」は、防災の講演会を開いたり、普段からの住民同士の助け合いや交流を進める企画を立てています。また、自治会・防災対策委員会西 毅委員長)が主導して、自治会として防災中心の放送設備を設置しつつあります。「研究会」は、その後方支援をしています。

 今後は、
近大・脇田教授グループとも連携し、自治会ぐるみで、自ら、「防災モデル地区」とする意気込みです。災害は完全には防げないが、努力により、かぎりなく減災できるというのが篠原さんの持論です。
 前出の菅野さんが指摘する
「共助のまちづくり」の動きです。今後の活動に注目し、教訓を学びたいと思います。



 自治会防災担当の西 毅さんとともに、総合的な街づく
 り
を提案する 篠原正さん

    市危機管理室発行
         取材を終えて

 人間は忘れやすいものです。といっても、一年前の大震災を忘れている人はいないでしょうが・・・。しかし、油断は禁物です。「たえず意識を喚起し、備えておく必要がある」と、防災学習センターで指摘されました。でも、簡単なようで難しいことです。まず、一人でできることから始めましょう。皆さんの手元にあるハザードマップを開いてみましょう。あなたの住む地域はどんな評価がされていますか?一次避難所はどこですか?地図を見ているうちに、「もしも今、大きな地震が起きたら?愛する家族はどうなる?」と、不安に駆られるはずです。普通は、「なあに、すぐには起きないさ!」と、不安を打ち消して終わります。たしかに、一人で抱えるには不安が大きすぎます。そんなとき、不安を共有する家族や地域があれば、それに立ち向かう勇気が生まれるのではないでしょうか?防災は、家族、地域、市ぐるみ、みんなで立ち向かいましょう。
 
学校、公共施設などの防災対策インフラの整備は、行政や議会が率先して取り組んでいただきたい。    
                       ルポ:楢よしき

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