2018年3月10日掲載
|
海上保安庁・地震調査推進本部の図より |
東日本大震災から7年がたちました。街の復興や原発事故の収束は「道半
ば」。いまだに避難されている方々の生活の安定も大切となっています。
3月11日を迎えるにあたり、過去の震災・防災の記事を掲載します。
また、災害は他人ごとではありません。私たちが住む東大阪はどうでしょう
か?下段に「東大阪・防災への備え」の記事を再録しました。ご参考になれ
ば幸いです。
|
救助隊の活動・・・・・
2011/3/29 |
東大阪から被災地へ
2011/4/22 |
防災への備え・・・・・
2012/3/7 |
災害に強い街づくり
2011/4/14
|
被災保育所応援
2013/2/28
|
3・11終わっていない
2014/7/27 |
防災の森を育てる
2015/3/20 |
林野火災実動訓練
2017/3/5 |
子ども防災キャンプ
2017/7/30 |
(過去の関連記事)
|
写真:川口泰弘氏提供 クリック:拡大 |
これは、生駒山土砂崩れの崩落
現場。先日、3月7日の写真で
す。小規模崩落がそこかしこにあ
り、この現場は中規模に崩れ、
川を一時期堰き止めています。
土砂災害リスクが高まってお
り、生駒山の巨石が密集してい
るエリアで大規模崩落が発生す
ると甚大な被害が想定されます。
(川口氏談)
|
|
いつ起きてもおかしくないのが南海トラフ巨大地震。以前
は、30年間でおきる確率が60%〜70%といわれていた
ものが、先日の発表では、70%〜80%に跳ね上がってい
ます。上記の場所などは、ひとたまりもなく崩落すると考え
られます。官民の力を合わせた対策が必要です。 |
再録:2012年3月7日記事 |
忘れてはいけないこと! |
この3月11日(日)で、東日本大震災からまる一年が経ちます。災害で亡
くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。また、遅れている復興対策や
原発災害対策が、これ以降、人々の期待に応えて迅速に進みますよう強く
願います。
|
大地震と巨大津波による被害 写真:辻恵子氏提供 |
東大阪市から緊急消防援助隊派遣
写真:消防局予防広報課提供 |
日本は、世界でも特異な「地震国」です。先般、新聞紙上で、「マグニチュード(M)7級の大地震が4年以内に起こる確率は70%」という東京大学地震研究所の試算が報じられました。昨年の大地震で、日本列島全体にかかる力のバランスが変化して、列島全体が太平洋側に引っ張られて不安定になっているようです。
|
|
私たちとしては、被災地復興をめざすとともに、わがまち東大
阪の震災対策を真剣に考える必要があるのではないでしょう
か?!
|
近畿圏はどうか?
|
地震には二つのタイプがあるといわれています。一つは、活断
層による「直下型地震」。もう一つは、プレートの動きによって
起きる「海溝型地震」です。海溝型が直下型を誘発し、連動する
ことも考えられます。
|
<資料>活断層等による地震の重ね合わせ震度分布 中央防災会議 クリック:大阪の詳細図 |
<資料>内閣府・防災担当 クリック拡大 |
上の地図は、活断層による
「直下型地震」での各地の
揺れやすさの予測を示すも
のです。
私たち東大阪にもっとも近い
活断層は「生駒活断層」と、
「上町活断層」です。
左の図は、上町活断層帯で
M7.6級規模の地震が発生
したときの被害予測の一例で
す。この通りになるというわ
けではありませんが、こうい
う判断もあるという参考にし
てください。
|
|
右の図は、プレートの動きによる「海溝型地震」の予測図です。
南海トラフ沿いの、南海地域(X)・東南海地域(Y)・東海地域(Z)の3つの地震帯が示されています。
今までの地殻の歪の蓄積からして、この3つの地域で同時に地震を起こす「連動型巨大地震」の可能性を示唆しています。ある研究では、30年以内に起きるといわれています。
|
資料:防災システム研究所 |
|
列島の状態から、関西そして東大阪は、「決して安心を保証さ
れていない」という前提で考える必要がありそうです。
|
東大阪は・・・? |
|
菅野耕三さんに聞く
今年の1月、「東大阪市防災講演会」(主催:東大阪市、地盤工学会関西支部)が開催されました。
そこで講師の一人を務められた菅野耕三さんを、自宅のある奈良県北葛城郡広陵町に訪ねました。
|
菅野
さん
|
よろしくお願いします。
遠いところ、ご苦労さまです。
早速ですが、今回の東日本大震災についてお聞かせ下さい。
|
菅野耕三氏 プロフィール
大阪教育大学名誉教授・専門は地質・古生物学
日本列島の形成史を研究し、地盤災害に精通。
執筆・講演活動のかたわら、小・中・高校への
「出前」授業を行い、若い世代の育成に尽力され
ている。
|
菅野
さん |
率直にいって、貞観地震(869年)の研究成果が生かされていないのが残念です。阪神淡路大震災でも、故藤田和夫(大阪市立大名誉教授)さんらの「六甲変動」の予知研究が生かされませんでした。 |
|
菅野
さん
菅野
さん |
阪神淡路大震災の時はどんな研究活動をされていましたか?
調査団の一員として被災地に入りました。被災者の方から、「こうなる前に、なんで地震のことを知らせてくれなかった」と、厳しい言葉が返ってきました。そのことがきっかけで、今の活動があります。
そうだったんですか!今回、東大阪市民にも基礎知識をぜひお願いします。
それでは、活断層、軟弱地盤、浸水の話をします。
|
小学生を前に「出前授業」のようす |
|
|
活断層について |
軟弱地盤について |
浸水について |
東大阪には何本かの
活断層からなる生駒活
断層帯があります。東
西からの圧力で生駒山
の西側はせり上がり続
けています。
奈良側はなだらかで
大阪側は急斜面なのは
そのためです。活断層
ですから、いつか大き
く動くことを想定する
必要があります。
おまけに、山裾は1
億5千万年前の花崗
岩で、風化がすすん
でいます。がけ崩れな
どの危険に備えるべ
きです。
|
大阪平野は、もと
もとが海の底です。
泥や砂礫が何層に
も重なった軟弱な
地盤で、液状化が
懸念されます。
東大阪にはその中
でも、鋭敏粘土層
というひじょうに柔
らかな地盤が多く
あります。また、造
成地では、盛り土
をした境界や、地
層が走る方向に並
行する斜面側(流
れ盤)は気をつけ
る必要があります。
私たちは造成地の
現場にも出かけ調
査します。
|
直接地震とは関係あり
ませんが、東大阪は浸
水しやすいところです。
浸水対策は進んでいる
ようですが、近年の雨の
降り方は尋常ではありま
せん。マンホールから水
が噴き出すということも
想定する必要がありま
す。流れる水は危険で
すから、外に出ず、家の
高いところに避難してく
ださい。
集中豪雨による地す
べりも警戒する必要が
あります。
|
|
菅野
さん
菅野
さん
|
市民のみなさんに日頃心がけてほしいことがありましたら。
家具の固定、水の確保、家族の避難場所の確認など普段から自分を守ることを
心がけてください。日頃から、アメやチョコレートをポケットに入れておくだけでも、
いざというときのカロリー補給になります。
阪神淡路大震災では、ある町で家屋の倒壊が起き、たくさんの方が生き埋めに
なりました。けれども一人の死者も出さずに全員救出されました。町の防災意識
が高く、住民をしっかり把握していたためです。町の共助も大切です。
どうもありがとうございました。
お役に立つなら、どこにでも出かけるつもりです。
|
|
|
普段の心構えとは・・・
|
|
東大阪市消防局全景 |
菅野さんのおっしゃる「普
段の心構え」を体験学習がで
きる貴重な場所が東大阪にあ
りました。若江岩田駅の北に
ある東大阪市消防局防災学
習センターがそれです。市外
から、多くの利用者が訪問さ
れます。
|
|
取材に訪れたこの日は、東南アジアから来日し、大阪で働き学
ぶ人たちが来館されていました。その方たちに同行取材させても
らいました。館内の様子を動画でご覧下さい。
|
|
体験学習後の感想は? |
ミー・ティエン ユオン・ユン 清村ロアン
さん さん さん(通訳) |
ミー・ティエンさん
ベトナム(23歳)
火事の時の消火
や、地震の時にす
るべきことがわか
りました。
役に立つことを
楽しく勉強できま
した。もしものとき
覚えたことを役立
てたいと思います。
|
ユオン・ユンさん
ベトナム(20歳)
日本に来る前か
ら地震が多いこと
は知っていました。
今日は、おもしろ
く体験できました。
地震になったら、
どうしたらいいか
方法がわかりま
した。
|
|
この防災学習センターは200
8年(平成20年)に開館し、のべ4
万1千人の来館者があるといいま
す。個人だけでなく団体での来館
も多いようです。消防局予防広報
課司令長の立花充司さんは、「災
害の怖さをあらためて認識しても
らいたい」と、油断を戒めます。
自分たちを守る方法を学べる施
設として活用したいものです。
防災学習センター案内ページ←クリック
|
地震体験コーナー
みなさん固まっていました。 |
|
|
町の防災を目指す |
活動成果発表会にて |
先日の3月3日(土)、市役
所で行われた地域まちづくり
活動成果発表会で、市民サ
イドで町の防災に取り組む
団体と出会いました。
新池島で活動する「2019
RWC・ShinIkeshima・
『遊』・Space」。通称「新
池島・街づくり研究会」。
篠原正さんに話を伺いま
した。
|
|
篠原さんは、「新池島は、津波以外のすべての災害に備えない
といけません」と語られます。多少、オーバーにしても、市の危
機管理室が発行している「ハザードマップ」では、確かに、洪水
の危険地と評価されています。
洪水・土砂災害ハザードマップ一部←クリック |
自治会と連携しながら活動
する「研究会」は、防災の講
演会を開いたり、住民同士の
助け合いや交流をすすめたり
しています。また、自治会・
防災対策委員会(西 毅委
員長)が主導して、自治会と
して防災中心の放送設備を
設置しつつあります。「研究
会」は、その後方支援をして
います。
今後は、近大・脇田教授グ
ループとも連携し、自治会ぐ
るみで、自ら、「防災モデル
地区」とする意気込みです。
災害は完全には防げない
が、努力により、かぎりなく
減災できるというのが篠原
さんたちの考えです。
前出の菅野さんが指摘す
る「共助のまちづくり」の
動きに注目です。
|
自治会防災担当の西 毅さんとともに、総合的な街づく
りを提案する 篠原正さん |
|
市危機管理室発行 |
取材を終えて
人間は忘れやすいものです。といっても、一年前の大震災を忘れている人はいないでしょうが・・・。しかし、油断は禁物です。「たえず意識を喚起し、備えておく必要がある」と、防災学習センターで指摘されました。でも、簡単なようで難しいことです。まず、一人でできることから始めましょう。皆さんの手元にあるハザードマップを開いてみましょう。あなたの住む地域はどんな評価がされていますか?一次避難所はどこですか?地図を見ているうちに、「もしも今、大きな地震が起きたら?愛する家族はどうなる?」と、不安に駆られるはずです。普通は、「なあに、すぐには起きないさ!」と、不安を打ち消して終わります。たしかに、一人で抱えるには不安が大きすぎます。そんなとき、不安を共有する家族や地域があれば、それに立ち向かう勇気が生まれるのではないでしょうか?防災は、家族、地域、市ぐるみ、みんなで立ち向かいましょう。学校、公共施設などの防災対策、インフラの整備は、行政や議会が率先して取り組んでいただきたい。
ルポ:楢よしき
|
|