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ふるさと東大阪2010年11月1日掲載
2015年1月29日一部加筆




 1月27日(火)考古学者で奈良大学名誉教授の水野正好さんが逝去されました。
考古学の発展に大きな貢献をされるとともに、私たち歴史の素人にもわかりやすく
解説してくださいました。生駒西麓に愛着をもち、住まっておられた水野正好様の
ご逝去に、謹んで深い哀悼の意を表します。     鳩まめ倶楽部一同
 石切にある“めっけもん、もうけもん、まいど!東大阪”
がオープン1周年を迎え、これを記念して10月10日(日)
水野正好さんの歴史講座が千手寺光堂会館で開催さ
れました。
①水野正好さんについて
②石切に住まうわけ
③日想観の世界に魅かれ
④日想観の寺『往生院』
⑤千手寺も光と深い関係

⑥水野さんは東奔西走!

 水野正好(まさよし)さんについて


          講演する水野正好さん
 大阪府文化財センター理
事長の水野正好さんは、19
34年大阪生まれ、大阪学芸
大学卒業後、滋賀県・大阪
府の教育委員会、文化庁調
査官などを歴任。1979年奈
良大学に着任、文学部長を
経て奈良大学学長を2期6
年務め、現在は同大学の名
誉教授です。  
 水野さんは日本の考古学研
究・宗教考古学の第一人者。
 考古学の裾野を広げるため、
研究の合間を見つけては、歴
史に関心のある人々に楽しく
わかりやすい講演をされてい
ます。

    主催者側あいさつ&講演風景


② 石切に住まうわけ・・・

 体調を崩し、文化庁を惜しまれながら退官。奈良大学に
赴任するため関西に戻られた水野さん。先ず最初の仕事
は家探しでした。居宅を構えられたのは
東大阪の石切
 ホテルセイリュウの背後の一段高い場所です。この地は
青年時代、山畑古墳群を発掘したり、考古学を志す仲間と
論議した思い出の場所です。

 講演で水野さんは、生駒の
山から見た2万年前の光景を
説明されました。西側には瀬
戸内海はありません。陸地が
広がっていて、『瀬戸川』が
流れ、ナウマン象やオオツノ
ジカが棲んでいたそうです。
 また、それとは対照的に
7千年ほど前は、山すそま
で海が迫り、マッコウクジラ
がゆうゆうと泳いでいたと、
ユーモアを交えて話されま
した。

      大阪市立自然史博物館の標本
  
 水野さんが河内平野が見渡せる土地に居を求めたのは
こういう悠久の
歴史に思いを馳せられるからでは・・・と
思えてきます。

③ 日想観(にっそうかん)の世界に魅かれ


  浄土曼荼羅(まんだら)の研究についての話を聴くうち水野さんを
生駒西麓に引き寄せたもう一つの理由がわかってきました。
 文化庁勤務の激務と心労の日々に、西方浄土に極楽往生を
願う
『日想観』の世界に心動かされるものがあったそうです。


  極楽を示す智光曼荼羅(元興寺ホームページ)   
&説明文
 仏典の『観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)
には極楽往生するための十
六種類の想観
(思い描き、心に
念じる)
が示されています。
その第一が日想観です。方
法は、太陽が西の空に沈み
ゆく映像を目の中にしっか
りと焼き付け極楽を心に思
い描くことでした。研究を
通して日想観の世界に身を
置きたいと願うようになっ
た水野さんにとって生駒西
麓は住むに最もふさわしい
土地でした。

 

 クリック→ 
「説明文の拡大
             
         日想観の寺 『往生院(おうじょういん)

 
 水野さんが奈良大学に赴任してすぐとられた行動は、山麓
中腹の往生院遺跡を訪ねることでした。その現場で、夕陽の
素晴らしさを体感されたようです。
 この場所は、師と仰ぐ故・藤澤一夫さん
(四天王寺国際仏教大学
名誉教授)
からたびたび聞かされていた日想観の聖地でした。


現在の往生院六万寺から眺めた夕日  副住職 川口英俊さん撮影  



     日想観の聖地の四天王寺西門
 聖徳太子の建立と伝えられ
る四天王寺。その西門は、海
に沈む夕陽を拝んで極楽往生
を願う『日想観』の聖地とし
て多くの信者が集まりました。
 
一方、安助(あんじょ)上人
生駒山西側に建立した
往生院
は、その四天王寺の真東に当
たります。
  

  彼岸の中日に、往生院の位置からから見て、ちょうど
四天王寺の五重塔に夕陽が沈みます。このことから、極
楽往生を願う天皇から庶民までの信仰を集め、当時の
往生院は大いに栄えたそうです。水野さんの話では、現
在の往生院六万寺から見ても、やはり夕陽は四天王寺の
方角に沈むそうです。

 
⑤ 千手寺(せんじゅうじ)も、光と深いつながり


      千手寺住職 木下密雲さん
 講演の会場となった千手寺
は、役行者、弘法大師、惟喬
親王、在原業平など、名高い
人物にゆかりのある寺院。
 本堂を昔から『光堂
(ひか
どう)
』と呼んできました。
 水野さんによれば、生駒山
西麓には光の字を冠する
『光
の寺』
が多く、千手寺もその
一つです。
講演のあと、千手
寺境内の古墳などを見学。大
阪府指定文化財『千手観音
立像』をまつる本堂では、

木下密雲住職
の説明を聴かせ
てもらいました。

  
⑥ 水野さんは東奔西走の毎日!

 相も変わらず研究に講演にと、各地を飛び回わり活躍中
の水野さん。
 10月中旬には、お隣の
韓国に渡り、三宝の寺々
をめぐるツアーの講師を務
めておられます。
 生駒山から見える夕陽
が水野さんの元気の素に
なっているのでしょう。

 そのエネルギッシュな活
躍ぶりに脱帽します!


        レポート:駒&楢

         韓国の大加耶博物館での水野さん


 参考文献
 
 『河内文化のおもちゃ箱』 水野正好監修 
    河内の郷土文化サークルセンター編集  批評社

      
  『生駒山ー歴史・文化・自然にふれるー』  
      生駒山系歴史文化研究会著 
         財団法人大阪府みどり公社編   ナカニシヤ出版

       

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