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ふるさと東大阪2008年2月29日掲載





万葉植物探訪 その六

         奈良時代の天皇から一般の人びとまでの歌を集めた万葉集。
        これに歌われた植物を万葉植物と呼んでいます。
        鑑賞のための花から実用的な植物、現在では雑草とされているものまでさまざまです。
        私たちが住む東大阪でも見られる万葉植物を順にご紹介します。
        一般に“萬葉集”の文字を使いますが、ここでは万葉集で表記します。
        花の名のひらがなは万葉名、カタカナは現代名です。
(酒野通信員)   


うめ(ウメ)バラ科


ウメ

最初の渡来は「白梅」

 美しい花をつける植物が多いバラ科の中でも、特に人気の高いウメは、中国から渡来した植物です。梅、烏梅、宇米、宇梅、有米などの文字が使われています。
わが国の人々の好みに合ったためか、急激に広がったようです。

 万葉集のなかに詠まれたのは119首ですが、このウメは白梅だといわれています。白梅のなかにも、枝が緑であったり、赤みを帯びていたり、黒っぽかったりと様々です。緑のがく、赤のがくと、がくの色の違いでも印象は微妙に異なります。
 紅梅はもう少し後に渡来したと考えられています。その後、わが国ではさまざまな梅の品種が生み出されることになりました。
月影 南高梅
 -月影 - - 南高梅 -

道知辺 鹿児島紅
- 道知辺 - - 鹿児島紅 -


梅の花折りて・・・ 重宝される梅の木

 ウメは、花の形が美しく、五弁の花びらと長くて特徴的な雄しべの形が可愛いため、紋章や模様に多用されます。
 枝、幹など全体の姿も良く、花に芳香があるため、観賞用の花木として重要な位置を占めています。また、その果実も大切に扱われます。現在は、「梅干し」「梅酒」の材料としてよく用いられていますが、古代では梅の実を原料にした「烏梅」(うばい)の生産が盛んでした。
 これは、真っ黒な梅の実の燻製で、薬用だけでなく、紅花染め(赤やピンク)や口紅の媒染剤としても利用されました。紅色を得るために真っ黒な烏梅が必要というのは、おもしろいことです。

 奈良の月ヶ瀬梅林は、古代に烏梅を作るための梅林であったそうで、今でも連綿と烏梅作りの伝統が守られています。
後の時代においては、枝、樹皮、材を原料にして、薄茶色や灰色に布を染めていたようです。

梅(白) 梅(赤)



  “梅に鶯”の取り合わせ 
 歌の中では、鴬(ウグイス)がともに詠われています。昔は、梅の木によく来て「ホーホケキョ」と鳴いていたのでしょうか。でも、私が梅の林でよく出会うのはメジロです。鳴き交しながら飛びまわっています。この疑問を、鳥を長年観察しておられる方に尋ねました。
 「ウグイスは、梅の木をわざわざ選んで来ているわけではありません。たまたま、蜘蛛や昆虫類を見つけたからでしょう。一方、メジロは花の蜜を吸いますので、梅が開花すれば喜んで群がります。
おそらく、“梅に鴬”というのは、季節感をあらわす為に人間の都合で関連付けたものでしょう」                    「野鳥の会」 岩本談
という返事をもらいました。これが真実なのでしょう。しかし、“梅ときたら鶯”という日本人の感覚は、これからも変わらないのかもしれません。


  古代ロマンスの舞台 
 私は、群れで咲く梅の、ぼんやり白や紅に煙ったような様子が好きですが、みなさんはいかがですか。
 
 井上 靖著の「額田女王」(ぬかたのおおきみ)の中で、大海人皇子(おおあまのみこ)が額田女王を梅見の宴に誘う場面があります。造営中の都から馬で駈けて着いたところは、一面に白梅が満開の里であるという印象的な情景です。まだ寒い夕刻の白梅の林という設定の美しさに感動したものです。
ぼんやりと映る梅


梅が枝に・・・ 梅の花咲き・・・ わが岳に・・・

* 梅の花の写真は 「大阪みどり百選」に選ばれている“枚岡梅林”と生駒山中にある“府民の森”で撮影


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