2008年6月7日掲載
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布施は、商売繁昌の布施戎神社があり、えべっさんの町として知られる。東大阪第一の布施商店街に、活性化に取り組む「おかみさん会」がある。その活発な活動で、昨年の大阪府女性基金の“プリムラ奨励賞”を受賞している。
今、大阪だけでなく、日本中の消費不況が深刻である。それに加えて、いままで堅調だった高齢者の購買力にも陰りが見え始めているという。そんな中、「おかみさん会」は、どんな挑戦をしているのだろうか。その活躍に迫ってみた。
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「やるんだ・やろうぜ、やってみよう」を唱和するおかみさんたち |
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夜の“おかみさん会”の会合に飛び込んでびっくり。「これいいやんけ!」のロゴを染め抜いたおそろいのシャツを着て会議中だ。
会場にはテレビカメラマンがいて、取材中。しかし、取材中でも、物怖じしていない。やらされているというより、カメラマンに逆提案するなど楽しんでいる風だ。何ともパワフルなおかみさんたちに驚かされた。ひとしきり、撮り終えると、本来の会議が始まった。 |
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会議には、市大・大学院の加藤教授と近大・理工学部の中西講師の男性陣が加わる。二人の先生方は、ボランティアでおかみさん会の立ち上げから参加し、専門的な知識を貸し、実務を助けていると聞く。頼りになる知恵袋のような存在だ。
簡単な夕食をとりながら、夜店の企画について活発な意見が飛び交う。笑い声が絶えないが、目は真剣だ。
テレビカメラマンや私にまでさりげなく食事を勧めてくれるなど、心配りが細やかで、それでいておおらかな雰囲気がある。はじめて参加したのに、なんの違和感もなく仲間であるかのように感じさせてくれる。こんな経験は人生初めてだ。 |
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和気あいあいとした雰囲気の中、 活発な意見交換が続く |
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芸名ですかと尋ねたら、「本名です」と、よく透る声で答える恵比須恵子(えびす・けいこ)さん。布施にぴったりの名にびっくり。一条通りにある化粧品店を切り盛りし、会の代表を務めている。その恵比須さんに、おかみさん会のことを語ってもらった。 |
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おかみさん会の結成と活動
商店街を含むまちづくりが目的。女性ならではの発想を生かそうと、布施商店街連絡会の加茂理事長の呼びかけで、2003年(平成15年)の9月に結成。人数は10人ほど。“一店逸品”運動や、十日えびすでの屋台、夏の土曜夜市での夜店の企画、商店街「ウオーキング」などのイベントで、女性の感性と行動力を発揮している。魅力のある商店街をめざし、東京の商店街の見学など、学ぶことにも大いに意欲をもっている。
ちょっと雰囲気が違う人情のある街に!
お客さんや地域の人に喜ばれる商店街をめざしている。ゆったりとした接客で、お客さんたちとの会話が弾むような店。お年寄りに優しく、気配り、心配りのある店が目標。この商店街にさしかかったら、“温かみがあり、雰囲気がちょっと違うな”と感じてもらえるように。そして、また行きたくなるような魅力ある街にしたい。
広がる応援。つんくさんもバックアップ
「おかみさん会」に対する地域の人々の援助があればこそ。二人の先生方や、商店街の方々、戎神社や、近畿大学などの協力をもらっている。“一店逸品”運動などで、地元出身で歌手・音楽プロデューサーのつんくさんの応援を得ている。“これええやんけ!”のロゴ文字も、つんくさんが快く書いてくれたものだ。
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<一店逸品のガイドブック>
「おかみさん会」が選んだ逸品が満載。生活情報も載せる女性らしい気遣いも。つんくさんの「これええやんけ!」の字が入っている。 |
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土井さんを先頭に、街中ウォーキング。
雨の日だったが、アーケードで支障なし。 |
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実際の活動を見せてもらおうと、「おかみさん会」主催で、毎月10日の夜7時に行われるウォーキングに参加した。健康増進と地域の人々とのふれあいが目的で、多いときには70人ほどの人数になるという。
商店街通りにえびす・大黒・弁天の3コースが設定され、単調にならないよう工夫されている。このウォーキングの企画には、強力な応援者がいる。商店街にあるフィットネスクラブ「ティップネス」のマネージャで、インストラクターの技術を持つ土井さんだ。専門的なウォーミングアップ法や、ウォーキングのこつを教えてくれる。 |
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初参加者には、「おかみさん会」から黄色地に“これええやんけ!”のロゴが染め抜かれタオルがプレゼントされた。代表の恵比須さんは、歩きながら「このお店には」と、ちょっとした商店街のガイドをしてくれる。これは、商店街「ウォーキング」ならではの、お役立ち情報だ。
参加している女性(73才)に聞いてみた。近くに住んでいるが、始まってからほとんど参加しているという。ふだん運動しないが、みんなで歩くのは楽しく励みになると語ってくれた。
健康に関心のある人は、軽装で、10日の夜7時に、2番街のクレアホール前に行くとよい。だれでも歓迎してくれる。 |
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編集後記
商店街は、助けあいながら共栄している森林に似ているのではないか。自分の店だけの繁栄を図るだけでは、今の困難は乗り越えられないだろう。しかし、理屈はわかっていても実際の行動に踏み出すのは並大抵のことではない。それぞれの店にはそれぞれの課題があり、家族にもいろいろな事情があり、結束を崩す条件にいとまはない。「おかみさん会」は、たくさんの壁を乗り越えてきて今があるのだろう。
「おかみさん会」では、お客さんと心が通いあうことを大切にしているという。その取り組みがどのように発展するのか大いに注目し、応援したい。
(楢 よしき)
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