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ふるさと東大阪2014年1月30日掲載






ポインタを写真におくと 二枚目が見られます。
 生駒山麓の六万寺町にある、往生院六萬寺
 四天王寺の真東に位置し、古来より、夕日を拝む
“日想観(じっそうかん)の寺として、また、南北朝時代の楠木正行公ゆかりの寺として知られる。

     往生院六萬寺  &  寺からの夕日(往生院提供)

左  展示室     中央 民具供養館

     往生院六萬寺 川口哲秀住職
 ここには、民衆がかつて身近に使っていた道具類を収蔵する、民具供養館二棟の展示室がある。寺の住職で、民具供養館の館長川口哲秀さん(67)にお話を伺った。川口さんは、歴史や民具の研究者としても活躍されている。
 川口 哲秀(かわぐち てっしゅう) プロフィール
─岩瀧山往生院六萬寺
(いわたきさん おうじょういんろくまんじ)住職ー
・昭和21年東大阪市往生院六萬寺に生まれる。寺院敷地内には小楠公楠木正行公の胴塚と銅像がある。
・寺院内にある民具供養館は昔の道具を3,000点以上所蔵しており、昔の先人の知恵、道具の大切さを後世に伝え
 るべく、年に数回展示物を一般公開している。
・大阪府文化財愛護推進委員 ・元河内の郷土文化サークルセンター会長
 

民具供養館の建設について

 境内にある民具供養館(以降 館)は、大和棟の民家を再現した立派なもの。1990年(平成2年)に完成したという。建設の動機は次のようなものだった。

 哲秀さんの父親で、先代住職の
立誠(りっかい)さんは、農業に関心を寄せ、農具を中心に昔の道具を倉庫に集めていた。

       川口さん 民具供養館前で
 
 熱心に取り組む父親の姿から、「その想いを無にしたくはない」と、常々考えていた。当時、わが子が通う幼稚園の会長を務めていた関係で、物とものづくりを大切にする心や昔の人々の暮らしぶりを、子どもたちに伝える大事さを痛感。



      館内   &   館内のかまど
 父親が残してくれたものを生かし、子どもたちに実物を通して感じてもらう場をつくろうと決意境内に館を建設後は、自らも幾多の古民具を集めて収蔵品を充実させ、今に至っている。見学者は、平成25年までに5万人に達しているようだ。

尊い、ものづくりの技と心



展示室    開館20周年記念展のようす    
 館の建設以来、川口さんのライフワークとなったのが道具の製造工程の研究。館の収蔵品のルーツである職人さんを訪ね、製造過程や生の声を取材し記録する活動をおこなっている。藍染め職人さんに会いに徳島まで行ったとか。今までに取材した現場は40件を超えている。
 館発行 民具歳時記 &
 川口氏講演を知らせる郷土博物館のチラシ


     民具歳時記の1ページ & 展示された道具
 だが、職人さんたちに取材に応じてもらうのは大変なこと。川口さんの熱意と誠意があればこその話。取材の成果は、展示室や館発行の研究誌「民具歳時記」でかいまみることができる。その詳細な記録は、後世に伝える貴重な資料となるにちがいない。 
     
常設展示はされていない
 川口さんは、館に収蔵してある一品を説明してくれた。棕櫚鬼毛箒(しゅろ・おにげぼうき)という。見た瞬間、美術品かと思われる完成度にびっくり。これを作った職人さんは30代の女性という。「若い人が技術を継いでくれている」と、うれしそうに語ってくれた。技術を守りたいという川口さんの想いが伝わってくる。
        棕櫚鬼毛箒 をみせる川口さん

“温故知新”で防災意識を高めたい


民具供養館のかまど     &     かまどベンチ(滋賀県ホームページより)
 
 最近、川口さんが中学生たちを相手に説明していたあるときのこと。会場を暗くして話をしようと照明を落とした瞬間、中学生たちは、集団パニックになり、興奮が容易に収まらなかったという。この時、このままでは突然の災害で自分たちの身は守れないと感じた。



         民具供養館でのお話し風景
  南海トラフの地震予測が現実味を帯びる昨今、普段から災害に備える準備や心構えを子どもたちに伝えていきたいと、このとき新たな目標を抱いたという。
 館では、
「電気に頼れない時代、先人は、このように明かりを確保してきた」という体験をさせている。

 また、館のかまどを炊く実演も、単に昔の生活を再現するばかりでなく、「電気やガスの炊飯器・湯沸しが使えなくても、このようにできる」と、先人の知識につなげたい思いがある。
 現に、日本各地で震災対策用に
先人の知恵を生かした「かまどベンチ」の設置が進んでいるという。

         かまどベンチ    (滋賀県ホームページより)


    市販されている手洗器  &  昔の手洗器
 「これはすぐれものです」と推奨する手洗器。震災時だけでなく、キャンプや魚釣りなどでも活躍できそう。昔からある道具を、古いからと切って捨てるのでなく、そこに込められた技と心をよく研究すると、現代に生かせるものが見つかるはずと、川口さんは語る。

保育園児がやってきた!



 取材のこの日、保育園児たちが民具供養館の見学にやってきた。東大阪市内の社会福祉法人「ひしの美会」が運営する「ひしの美保育園」「ひしの美東保育園」の園児たち。
 
 説明やお世話は、川口住職と、奥様の敏子さん、三男の泰弘さんがあたる。
見学は館との事前の連絡が必要)
 
 園児たちと一緒に回って、館内の様子や園児の活動を、動画で紹介したい。
(下段)

   
民具供養館の見学は事前に電話による問い合わせ
  が必要。
 〒579-8061 大阪府東大阪市六万寺町1-22-36 
     ☎:072-981-2597(夕方4時45分まで)
   岩瀧山往生院六萬寺ホームページ ←クリック

           
ルポ:楢よしき
  

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