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ふるさと東大阪2009年6月22日掲載






  奈良時代の天皇から一般の人びとまでの歌を集めた万葉集。       これに歌われた植物を万葉植物と呼んでいます。
鑑賞用から実用的なもの、現在では雑草とされるものまでさまざま。
私たちが住む東大阪でも見られる万葉植物を順にご紹介します。
一般に“萬葉集”の文字ですが、ここでは万葉集で表記します。
花の名のひらがなは万葉名、カタカナは現代名です。
                                      <レポート:酒野>      


樒(しきみ)シキミ科








  悪霊を払う樹木
   

      新芽が伸び始めた『しきみ』
 大阪では「しきび」とも呼び、仏事に縁のある木として知られます。つやつやとした葉が特徴です。
 関東から沖縄までの山林に自生し、もちろん生駒山にも生えています。寺や家に植えられることもあり、3〜6メートルぐらいになる常緑小高木です。

 この木はなぜか「縁起が悪い」と誤解されている向きがあります。葬儀の時に立てたり、故人の枕元に枝を飾ったりするので、知らず知らずそういうイメージを持たれるようになったのでしょう。
 しかし、この木を使い始めた古代の人びとは、悪霊を払う特別な木と考えていたようで、悪霊の出そうなところに置いて周りにいる人びとを守ろうと考えていました。

木の特異な性質
 古代人が『しきみ』に特別な霊力を認めたのには、それなりの理由があったと考えられます。
 『しきみ』の語源は、その実が「悪しき実(あしきみ)」だったからと言われているように、特に果実に猛毒が含まれています。古代の人々は、「毒をもって毒を制す」とばかり、『しきみ』の強烈な毒で、悪霊に対抗できると考えたのでしょうか。

         <クリック:拡大>
 劇物指定の実 提供:とんび岩通信
 枝葉を切ると特別な香気が漂いますが、これは精油が含まれているからです。樹皮や葉の粉末から『抹香(まっこう)』が作られます。お通夜に焚き続ける習慣は、僧が退席して法力が薄れる夜半に、大事な故人に悪霊を寄せ付けないためといわれます。

   ロウ細工のような花


 
  しきみの花    提供:とんび岩通信

           <クリック:拡大>
  ロウ細工のよう   提供:とんび岩通信


 よく知られた『しきみ』ですが、その花を観た人は少ないのではないでしょうか。4月頃に直径3センチほどの薄黄色の、ロウ細工のような意外なほど美しい花が咲きます。普段は目立たない樹木ですが、ある日突然という感じで咲いています。




     万葉集では珍しい    

 詠み人は、大原真人今城(おおはらのまひといまき)
万葉集で、『しきみ』を詠んだ歌はこの一首だけです。しかし、心に切々と訴えかける魅力的な歌です。

「奥山のしきみの花の名のように、しきりにあなたを恋い続けることでしょう」、という意味


この歌は、しきみの花を知らないとイメージが湧いてきません。

山の中にひっそりと咲く『しきみ』の花にかけた作者の心をのぞいて見たい気がします。

 私は、この花が好きで、花の季節がめぐってくるのが楽しみです。花は、咲くところで個性が出るのでしょうか。花色は、白から黄色の強いものまで見られます。また、花弁も、細いものから太いもの、厚みのあるものから薄いものまで様々あるようです。
 縁起の良い木なんですから、来年春には、みなさんもぜひ、気に留めて観てください。子や孫には口に入れないよう教えてやって下さい。






  画像の一部は、「とんび岩通信」さんから提供を受けました。
          動植物や旅行が好きな人にはおもしろいホームページです。        http://www.page.sannet.ne.jp/mahekawa/index.htm



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