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2010年2月15日掲載
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奈良時代の天皇から一般の人びとまでの歌を集めた万葉集。
これに歌われた植物を万葉植物と呼んでいます。 鑑賞用から実用的なもの、現在では雑草とされるものまでさまざま。
私たちが住む東大阪でも見られる万葉植物を順にご紹介します。 花の名のひらがなは万葉名、カタカナは現代名です。 |
<レポート:酒野>
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まゆみ マユミ(ニシキギ科)
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ニシキギ科のマユミは、北は北海道から南は九州まで、日本全国に自生する落葉樹です。初夏に直径1センチほどの淡緑色の花をつけます。
その姿は、可憐ではありますが、お世辞にも美しいとは言えません。
写真右は、マユミの花
<ウィキペデイアより>
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マユミの名を聞いて誰もが思い出すのが秋から冬にかけての姿です。淡紅色の実が、秋の終わりに4つに裂け、中から色鮮やかな赤い種があらわれます。
実がはじけて中から種を出すのを蒴果(さくか)といいますが、その中で、マユミほど心をドキッとさせるものはありません。 |
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実と紅葉が美しいため、庭園に植えられることの多いマユミですが、その名は、特殊な使われ方からきています。
昔、この材から弓をつくり、漢字では『真弓』と書きます。万葉集では、『檀』とも表しますが、どちらも、「引く」や「張る」の枕詞(まくらことば)に用いられます。 |
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左の歌は、奈良の明日香村稲淵の細川山に生えているマユミの木にことよせています。
「マユミの枝を弓にするのに、握りの革をしっかり巻きつけ終わるまでは、人に知られないようにしよう」、という意味です。
この真意は、マユミを女性にたとえて、「好きな人をすっかり手に入れるまでは、人に知られないようにしよう・・・」、と読めます。
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次に、真弓を歌いこんだ下の二首を読み比べてください。黄色の色紙の方が、男性からの歌です。弓を引くと、気を惹(ひ)くをかけています。「私があなたに言い寄ったら、あなたは貴人ぶって、いやと言うのでしょうね」と、粉をかけています。それにたいし、女性からの返事が紫の色紙の歌です。
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「弓を引いてみもしないで、弓弦のかけ方を知っているとは言えませんよ」、という意味です。
『女性の心を本気で惹きもしないで、自分のものには出来ませんよ』と、切り返していて、ピシッと一本とった感じです。
万葉集には、人間の心が息づいていて、興味がつきません。
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追記:マユミの写真の一部は、ギャラリー『砌』の庭のものを使わせてもらいました。
『砌』のネーミングは、店がある石切の地に因んでつけられています。
四季折々にきれいな花が咲く、素敵なギャラリーで、近鉄石切駅から南徒歩3分
の高台にあります。
http://g-migiri.com/ ←ホームページリンク
『砌』の意味しらべ ←YAHOO辞典リンク
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