A進路を決めた大学付属漢方診療所での出来事
大学を卒業した年に新設された医学部付属の東洋医学研究所
に、卒業と同時に入りました。今から40年くらい前のことです。
大学で漢方薬を扱うところは日本広しといえども全国で3か所だ
けでした。そのため、開設当初から患者さんは押すな押すなの大
盛況。門前市をなすかの勢いでした。
当時、漢方薬には保険が適用されませんでしたので薬代といえ
ばびっくりするような価格だったうえに、医者に見放された人や難
病の人が新幹線や飛行機を使って遠方から来院されるものです
から、交通費を含めると1回の支払いが5万、10万はあたりまえ。
診療にあたっていた医者は、忙しさのあまり昼食を取る時間がな
く、外来の診療室で低血糖で倒れることしばしば、薬を調合する薬
剤師たちもてんてこ舞いの毎日でした。
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