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2013年6月14日掲載
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季節感あふれる和菓子で喜ばれている店がある。
近鉄花園ラグビー場・中央公園の南正面入口にある菓心庵・絹屋がそれ。花園ラグビー場での観戦土産の定番になっている饅頭もある。 |
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四季のうつろいが和菓子のいのち
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お店にうかがったのは6月1日。月始めだけに限定販売される暦菓子(こよみがし)をゲットするため。
明るい店内に入ると、6月の暦菓子・紫陽花水饅頭(あじさいみずまんじゅう)が、艶々と光っていた。「もっと日本を楽しもう」をテーマに、四季の風物、五節句やお月見などの伝統行事に因んだ創作和菓子が絹屋の真骨頂。
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六月暦菓子:紫陽花水饅頭(抹茶餡) |
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先代と二代目の競い合いの技と味
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二代目:西田浩明さん & 出品作 一期一会 |
現在の絹屋は、先代と二代目の両輪がその原動力。
先代は西田 隆さん。出身地長崎で修業し、さらに大阪で修業を重ね、1966年に花園で創業した苦労人。
二代目浩明さんは、大阪で修業後、父親とともに絹屋を支えることになる。
毎月の勉強会“大阪二六会”の会員とともに感性を磨き続けている。また、菓子の専門学校や短大の講師として、後進を育てる仕事にも力を入れている。
先だっては、権威ある全国菓子大博覧会(4年に一度)の第26回広島大会で文部科学大臣表彰の快挙を成し遂げるなど、二代目の腕は確かなものだ。
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しかし、時として和菓子作りで親子の意見の違いが出ることもあるという。職人同士の競い合いが、いつも新しいものを生み出す絹屋の原動力になっているようだ。 |
素材にこだわり、納得いくものを
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涼しげな名物わらび餅。製造に使う水は、紀州備長炭のろ過をくぐり抜けてきたもの。砂糖は、ミネラル分が多くてコクのある三温糖を使っている。和菓子それぞれの味を最高にひきだす素材を、全国から吟味し、調達している。 |
名物 わらび餅 |
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カステラの元祖を求めポルトガルへ
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ポルトガルでの二代目 |
絹屋には、直伝「絹屋カステラ」という名品がある。その味と技術の土台は、長崎に生まれ菓子づくりを学んだ初代のもの。二代目はポルトガルに渡って勉強し、そこに、カステラの元祖パオン・デ・ローとポルトガル菓子の味と技術を注ぎ込んだ。こうして出来あがったのが絹屋自慢のカステラ。 |
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初代と二代目の合作である絹屋のカステラは、手間をかけた独自の製法によって創り上げられているのだ。
素材も厳選され風味豊かで、夏は冷蔵庫で冷やしていただくと又格別の食感を楽しめるという。
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直伝 絹屋カステラ |
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夏の和菓子 ラインアップ
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七月暦菓子:水辺の蛍 & 琥珀羹 |
白桃のしずく & 旬菓 ぶどう餅 |
天の川 |
水ぼたん & 竹筒ゼリー |
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花ラグ饅頭は全国区
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定番菓子・花ラグ饅頭は、全国のラグビー選手やファンのお土産品としても定評がある。誕生は20年前。ラグビー場の改修記念として、商工会議所のラグビーグッズ創生クラブの呼びかけに応えて創作された。
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花ラグ饅頭 & 外装 |
青エンドウと沖縄波照間産黒糖の餡で緑の芝生を表現し、形はラグビーボールを模している。いまや全国区の知名度をもち、東大阪のお菓子として定着している。
二代目は、細いけれど強くて長い絹糸のように、きらっと輝くものを末永く丁寧につくり続けたいと、屋号に因んだ抱負を語ってくれた。
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冒頭に話した六月暦菓子・紫陽花水饅頭は、目に優雅で見飽きない。抹茶風味の餡は、ほどよい甘さで、お茶の香りが口の中に広がった。春の桜の花が載ったじょうよう饅頭と、秋のぶどう餅もオススメ!
ルポ:楢よしき・A酒野
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