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2010年9月14日掲載
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奈良時代の天皇から一般の人びとまでの歌を集めた万葉集。 これに歌われた植物を万葉植物と呼んでいます。 鑑賞用から実用的なもの、現在では雑草とされるものまでさまざま。 私たちが住む東大阪でも見られる万葉植物を順にご紹介します。 花の名のひらがなは万葉名、カタカナは現代名です。 |
<レポート:酒野>
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をみなへし オミナエシ(オミナエシ科)
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日当たりの良い山野に |
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おみなえしは、全国各地の日当たりの良い山野に自生する多年草です。秋の七草の一つとして、庭園などでも多く育てられます。草丈は1mほど直立し、茎の上で分かれてその先に花をつけます。花は、晩夏から初秋にかけて、直径3~4mmの鮮やかな黄色の小花が群がって咲きます。
万葉人に愛された花
昔の人は、この小さな花の集まりが、粟飯に見えたようです。当時は粟飯を“女飯(おみなめし)”と呼んでいたところから、当初はこの花は、“おみなめし”とよばれ、それが“おみなえし”と転訛したと考えられています。平安時代には「女郎花」の漢字が充てられました。当時の「女郎」は女性に対する尊称でした。
左のうたは、有名な山上憶良の秋の七草を詠んだものです。おみなえしの花は万葉の人たちに愛されたようで、詠まれたうたは14首にものぼります。
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根や葉に薬効が
漢方の生薬名は敗醤根(ハイショウコン)といいます。消炎、浄血、利尿作用があり、産後の体力回復や腹痛、子宮炎など婦人薬としても効果があるといわれています。生薬名の敗醤とは腐った醤油のことで、古くなった花はそういう臭いがするからといわれています。
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ススキやフジバカマと混生しているオミナエシ |
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季節感豊かな万葉人 |
右のうたは、秦八千島(はたのやちしま)のものです。「ヒグラシが鳴いたら、おみなえしの花を眺めにいくのがいいですよ」と詠っています。
詠み人は、ヒグラシの鳴く声を聞くと、おみなえしが咲く美しい風景が目にうかんでくるのでしょう。自然の中で生きている万葉人の生活がしのばれます。
現代の私たちも、自然に関心を払い、季節を大いに楽しみたいものです。
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今年の花期は長かった
今年のおみなえしの花は、ずいぶん長く咲いていて1ヶ月近くになります。涼しくなってヒグラシが鳴くようになるまで待っているのでしょうか・・・?
最後に、もう一つの花を紹介しておきます。右の花は、“おとこえし(男郎花)”です。
同じ科ですが、見たとおり花は白く、全体的に大ぶりなようです。名前の由来は、もち米のおこわの呼び名、男飯(おとこめし)から来たといいます。
古代から二つセットで親しまれたのでしょう。 |
おとこえし YAHOO百科事典より
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