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 2016年5月30日掲載
                                   

衣裳:作 辻村ジュサブロー氏 
 
 東大阪市民美術センターでは、「芸能衣裳の美」と題した特別展が催されています。
芸能衣裳
(げいのういしょう)とは一般に聞きなれない言葉です。意味は、舞台に立つ
演者が着る着物や服のことです。衣裳は役をあらわし雰囲気を高めます。演じる中
で輝きを放つのが芸能衣裳です。演者の技量が高いほど、芸能衣裳は完成度の高
さが求められます。今回ご登場は、上方舞
(かみがたまい)吉村ゆきそのさん
吉村流の代表的な舞踊家として、数々の貴重な舞台で舞ってこられました。
 今回の展示では、
「吉村ゆきその美意識」と題し、超一流の舞踊家の美にこだ
わりぬいた衣裳を拝見することができます。
 また、この衣裳制作を手がけ、舞台を支えた技裳師・
小山拡賜(こやま・ひろし)
櫛、かんざしなどのコレクションが併せて展示されています。
  
 
                    目次
 

     
①吉村ゆきそのさん の人となり←ジャンプ
  
      自前の衣裳へのこだわり ←ジャンプ
            
      舞うことで命を宿す衣裳←ジャンプ

      美意識を支えた技裳師 ←ジャンプ
     
      新たな挑戦 ←ジャンプ   ⑥<動画>吉村ゆきそのさんの素顔←ジャンプ
            


     
 
 
①吉村ゆきそのさん の人となり
 
 パン工 


芸能衣裳の美 吉村ゆきその美意識  (着物7点)
 吉村ゆきそのさんは香川県高松市の生まれ。三歳から女性のたしなみの一つとして、舞踊を習うことになりました。
 本格的に舞いに取り組むようになるのは、上方舞の4大流派の一つ吉村流と出会ってから。
 1953年
(昭和28)、吉村流四世家元・吉村雄輝(ゆうき)氏(人間国宝)の薫陶を受けることになります。
 そして、早くも4年後の1957年
(昭和32)には、吉村雄輝園(ゆきその)の名を許され、吉村流の代表的な舞手となります。
 

上方舞吉村流 舞踊家 吉村ゆきそのさん

師匠と踊る 吉村ゆきそのさん
 かつて座敷舞が中心であった上方舞は、この頃から舞台での芸術性を高めていきました。
 四世家元は、能、歌舞伎、新派などの他の芸能の手法を大胆に取り入れ、斬新なスタイルに挑戦していました。吉村ゆきそのさんにも、その精神が受け継がれてゆきます。
 1998年(平成10)には、天皇・皇后両陛下御成婚40周年、天皇陛下御即位10周年のお祝いの席で、地唄「子(ね)の日」を舞いました。
御成婚40周年・御即位10周年で舞った衣裳

金刀比羅宮 平成大遷座祭
 このほか、東大寺、金刀比羅宮、善通寺などの名だたる名刹の祝賛法要で、艶やかな奉納舞を披露しています。
 ごく最近では、2015年
(平成27)のNHK Eテレの古典芸能番組「にっぽんの芸能」で、「上方舞のこころ・吉村ゆきその」として放映されました。

 このような数々の芸能活動により、文化芸術祭賞、香川県文化功労者表彰、地域文化功労者文部科学大臣賞などを受賞。現在、高松市観光大使としても活躍されています。


②自前の衣裳へのこだわり

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芸能衣裳の美 吉村ゆきその
美意識


「衣通姫」 国立小劇場 吉村ゆきその舞の会
(作: 朝倉 摂氏)
 さて、そのような吉村ゆきそのさんが衣裳につよいこだわりを持つのはなぜなのでしょうか。
 
 1967年
(昭和42)、高松市に香川県文化会館が完成。そのこけらおとしとして、“ゆきそのさんのリサイタル”が催されました。そこにはそうそうたるメンバーが特別出演されました。竹本越路大夫、鶴澤燕三、初代富山清琴、家元の吉村雄輝(いずれも人間国宝)の方々です。
 その折、上方舞の
武原はんさんから、「舞は自前の衣裳で舞いなはれや」という声をかけてもらいました。
 以来、この教えを大切にしてきました。
 

 
一中節「都若衆万歳」 国立小劇場 吉村ゆきその舞の会

「晶子桜」 国立大劇場 華扇会
 芸能界ではあてがいの衣裳で済ます風潮が多い中、ゆきそのさんの舞台にかける執念がひときわ光ります。ゆきそのさんにとって、ここにある衣裳は単なる思い出ではありません。舞うときの効果を考え、衣裳の専門家とともに心血を注いだ作品です。

    ③舞うことで命を宿す衣裳                         
シエル

地唄「葵の上」   NHKスタジオCT101 芸能花舞台

「葵の上の衣裳の袖
 地唄「葵の上」では、汲めども汲めども尽きぬ“女の性”を表現することに苦心したと、ゆきそのさんは語られていました。

 衣裳の袖には、金糸、銀糸で刺繍がほどこされています。
 

  ここで使用している舞台写真は、主に、写真家の森田拾史郎氏が撮影され、写真家の岡一洋氏によってパネルに仕上げられています。

 展示の一部ですが、吉村ゆきそのさんの舞台衣裳を、演じているパネルの写真と見比べながらご覧ください。

「水映」ボレロ さぬき市志度音楽ホール
吉村ゆきその舞の会
 

長唄「加賀の千代」 国立小劇場 吉村ゆきその舞の会
 今回の展示品の中には、舞台芸術家の朝倉摂(あさくら・せつ)氏や人形作家の辻村ジュサブロー氏が手がけたものもあります。

 舞いをされる方や、着物に興味をもたれるかたばかりでなく、この会場では、一人の女性の舞台にかける激しい情熱を感じとることが出来ます。

「綾の鼓」 国立小劇場 
吉村ゆきその舞の会

 着物には素人の私にも、着物や帯の柄にも細心の注意が払われているように感じました。地唄「八島」で着られる着物のすそ模様は、動くたびに、まるで本当に波打っているように見えるのではないでしょうか。
 

「八島」の着物 (作: 磯部 雨舟氏)  &   「春駒」の着物 (作: 小山 拡賜氏)

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④美意識を支えた技裳師(ぎしょうし) 


吉村ゆきそのさんに化粧する 小山拡賜氏
 技裳師とは、役者や踊り手の顔・かつら・衣裳の製作と着付までを担当する仕事。今でいうメイクさんやスタイリストの仕事を包括する総合プロデュース役です。

 吉村ゆきそのさんを担当したのが、香川県丸亀市出身の、
小山拡賜(ひろし)氏。著名な踊り手の技裳師として活躍。ゆきそのさんの美意識に大きな影響を与えました。
 

 

技裳師 小山拡賜氏

技裳師 小山雄輝氏の櫛・かんざしなどのコレクション
 この小山氏との出会いは、「舞の衣裳を自前で」と、決心したことから。小説家・川口松太郎氏の令嬢から技裳師として小山氏を紹介してもらいました。以来、着付け・顔姿・髪型まで、一切の美を担当してもらうことになりました。
 

 このたびの展覧会では、ゆきそのさんの尊敬する小山さんの櫛・かんざしなどのコレクションが併せて展示されています。その膨大な数に驚かされますが、展示はコレクションの一部だそうです。

技裳師 小山雄輝氏の櫛・かんざしなどのコレクション

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⑤ゆきそのさん の新たな挑戦
OSJ工房



「八島の舞」を舞う会ブログより
 吉村ゆきそのさんは、日本のよき伝統を子どもたちに伝えたいと考えています。地元のサヌキ(讃岐)には、伝承文化である、「八島(やしま)」や「珠取海女(たまとりあま)」が、能楽・地唄として伝えられてきました。

 上方舞の精進をしているとき、このような故郷にちなむ作品があることを知ります。マスターしたいと稽古を続けてきました。

 その「八島」を、こんどは子どもたちに伝承しようと決意。地元の5年生に指導してきました。四年間の取り組みが実を結び、地元の大きな感動を呼びました。

 ゆきそのさんは、また、今までに芸能活動で培ってきた“美の感覚”を生かして、「みなさんのお役に立てる第二ステージの活動を開始してまいります」と、ギャラリートークの聴衆に語りかけておられました。さらなる御活躍をお祈りいたします。

 特別展は、6月12日(日)まで 休館日は月曜日。

 「芸能衣裳の美」特別展詳細←クリック

ギャラリートークにて 吉村ゆきそのさん 酒野学芸員と


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<動画>吉村ゆきそのさん の素顔
                     <インタビュー>
東大


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    ルポ 楢よしき  校正:駒 

取材協力:東大阪市民美術センター
               「芸能衣裳の美」実行委員会(代表池田吉孝) 
 
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