今どうなってるの?!東大阪
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 2016年8月15日掲載
                                   


  
今、東大阪市民美術センターに沖縄の風が吹いています。沖縄出身の高名な
版画家である
名嘉睦稔(なか・ぼくねん)の展覧会を開催中です。
 氏の作品は、地元沖縄で記念切手の絵柄になり、全国の小中学校の教科書や
絵本の挿絵にも使われています。「あっ、見たことがある」と感じる方がほとんどで
す。東大阪市民美術センターの協力を得て、取材をおこないました。


 

                     
目次
 

     
①市民美術館に沖縄の風が吹く←ジャンプ
  

      ②青い海と紅い花、そして女性の美しさ←ジャンプ

     ③ボクネンワールドに迫るジャンプ
            
      <動画>ボクネンさんの創作風景←ジャンプ

      <動画>会場風景←ジャンプ

    
  
<動画>対談風景 & 参加者の感想ジャンプ

     
<動画>ボクネンさんに突撃インタビュー←ジャンプ
    

   
 
 
市民美術センターに沖縄の風が吹く 
 パン工 



散無空花(さんくばな)の咲く」


ボクネンさんの創作風景
 東大阪市での名嘉睦稔(なか・ぼくねん)さん(以降:ボクネンさん)の展覧会は2回目です。前回は2002年に「~沖縄の風を彫る~」と題しての展覧会でした。今回は、「ボクネンの世界展~風の伝言(イアイ)を彫る~」と題されています。風は地球からの贈り物であり、伝言(=メッセージ)であるとの氏の思念がうかがえます。
 ボクネンさんは、1953年、沖縄の伊是名島(いぜなじま)で生まれ、篤い人情と美しい海に囲まれて育ちました。風は波を起こし雨を呼び、島に恵みをもたらします。しかしまた、暴風雨の被害をもたらします。大自然への深い畏敬は、そんな氏の生い立ちにあるのではないでしょうか。
 

伊是名島の航空写真&マップ  伊是名島観光協会



名嘉睦稔さんの創作風景を見る
 ボクネンさんの創作風景を、ビデオ映像で拝見すると、超人的というか、神がかり的なものを感じてしまいます。
 刷り上げた木版画の裏から彩色する「裏手彩色」という技法も、一気呵成におこなわれているようです。
 沖縄県の北谷(ちゃたん)町美浜には、ボクネンさんがプロデュースしたAKARA(アカラ)の施設の中に、ボクネン美術館があります。ここで見るボクネンさんの作品は、異郷の地とは違った輝きを放つかもしれません。

      ボクネン美術館←クリック

AKARAのボクネン美術館
 
 ボクネンさんを知らなくても、「あっ、この絵見たことある」と感じられる方が多いようです。小・中学校の教科書や絵本の挿絵に、また沖縄の記念切手にも登場します。



月桃の花 つぼみが桃を連想させる
 
 絵から日本の原風景に触れた思いで、“郷愁”を感じる人も少なくありません。

 ボクネンさんが使用する紙は、沖縄産の月桃紙(げっとうし)。ショウガ科の月桃を原料にしています。
  
 さて、今回の展覧会では、作家歴25年の作品約2500点のうち、82点が展示されています。館内には大作2点の圧倒的な迫力と、沖縄からの快い風を感じます



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②青い海と紅い花、そして女性の美しさ



「大礁円環」   &    「節気滋風」  
 私が作品に触れて一番感じたのが、青の神秘的な色使いです。沖縄の海と空が見せてくれる豊かな青の世界でしょうか。
 それに対して、紅い色は沖縄の花の色、それとも夕焼けの赤い色からきているのでしょうか。そんな妄想をかき立てられます。


雷花(らいか)

東の緑門(一部分)
 沖縄の漁村風景を描いた一枚。行ったことがない場所なのに、懐かしさを感じ、絵の中に入りたい衝動に駆られます。
 木陰に吹く涼しい風と、浜に吹く熱い風の二つ風を感じます。
 ボクネンさんのどの絵からも動きや流れを感じます。どう動いているのか、風や水の流れはどうなっているのか読み解くのも楽しみの一つです。ぜひ試してみてください。

「呼ぶ」(一部分)
 展覧会で発見したことの一つは、女性の美です。人魚を題材にしていても、そこに現れているのはまぎれもなく人間の女性。
 やわらかでしかもしなやかな女性美の表現に感動させられました。
  
 深い海に潜ってゆく人魚。ストーリーを想像してしまいます。深い精神性を感じさせる一枚です。

 ボクネンさんの豪快な制作風景を見て、このような緻密でデリケートな作品が生まれるとは理解の範囲を越えています。


 しかし、その秘密は、最近発刊された「おきなわのお嬢さん~麗しきみやらび~」と題された画集を見て解けました。

「水の冥闇(くらやみ)」(一部分)

線描画集:「おきなわのお嬢さん~麗しきみやらび~」
 その画集は、ボクネンさんが版画に移行する1984年前後に集中的に制作した女性の線描画を集めたもの。
 女性の繊細な美しさをとことん追及した時期のあったボクネンさん。そのたしかな蓄積が、
あのような瞬間の技のなかに生かされているようです。
 
 



 さて、以上は私の勝
手な感想で失礼しまし
た。鑑賞は千差万別・
十人十色、ボクネンさ
んの世界を自分の目
で確かめ、楽しんでく
ださい。

 思いがけない感動が
あなたを待っているか
もしれません。


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③ボクネンワールドに迫る

   

記念対談「ボクネンの時空を読む」



 8月11日(木)にはボク
ネンさんが東大阪市民美
術センターに来館され、
地元大阪商業大学大学
院の
石上敏(さとし)教授と
の対談に臨まれました。
 石上教授はボクネンさ
んの画業を高く評価され
長年の親交があります。

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 対談を通じて感動したのは、ボクネンさんの生きる哲学。「われわれは自分の意思だけで生きているのか。周りから生かされている面があるのでは」と、問いかけるボクネンさん。創作における真摯な態度の根っこを見る思いがしました。
熱く語るボクネンさん
 
 東大阪市民美術センターでの名嘉睦稔さんの展覧会は8月31日(水)まで。暑い時期ですが、館内には沖縄の快い風が吹いています。




 色彩の豊かさや躍動感にきっと元気をもらえることでしょう。
 沖縄にゆきたいという衝動が起きるかもしれません。

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 鳩まめ会員 織田真智子

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    ルポ  楢よしき  校正:駒 

 
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