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2009年1月7日掲載
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生駒の山麓は季節によってさまざまな貌を持っており、いつ訪れてもその時々の美しさを見せてくれる。そこには、自然や文化が豊かに残されているからだろう。
今回は、秋から冬にかけての様子を紹介する。
(トップの写真は、毎年1月15日に行われる蹴鞠奉納) |
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近鉄奈良線の電車で生駒山の麓を通るとき、車窓から東の山の手を見上げると、こんもりと茂る山が見える。それが神津嶽だ。(写真左)
神話では、神武東征のおり、天種子命(あめのたねこのみこと)がその頂に二神を祀り、東征の成功を祈願したという。
そこが、枚岡神社の発祥の地といわれている。その場所には、小さな石造りの社があり、神津嶽本宮として連綿と祀り続けられている。(写真右) |
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その後、社は白雉元年(西暦650年)に今のところに遷移されたという。
西暦650年といえば、「大化の改新」の時期にひじょうに近い。最近は、「大化の改新」に対するさまざまな説が唱えられているが、いずれにしても動乱の時期であったにちがいない。神津嶽から見晴るかす当時の難波の宮の方角に、何が見えただろう。
さて、枚岡神社に参った人は数え切れないだろうが、神津嶽本宮まで登った人はそんなに多くはないはずだ。ハイキングで「神津嶽コース」を散策する時、立ち寄ることができる。 |
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近年、枚岡神社で「蹴鞠奉納」が始められた。
京都の古社、「葵祭り」で知られる下鴨神社で蹴鞠を行う人たちがやってきて、華麗な技を披露する。京都での様子をテレビで見た人も多いだろう。
下鴨神社では1月4日に 蹴鞠始め(けまりはじめ)が執り行われる。
神事を終えて、平安貴族の遊び「蹴鞠」が再現される。色とりどりの美しい装束を身につけ、貴族に扮した人々が登場し、鹿の革で作られた白い鞠(まり)をけりあう。 |
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「大化の改新」を前に、中大兄皇子と中臣鎌足が蹴鞠の場で気脈を通じたという伝承は有名だ。
蹴鞠は勝ち負けの競技ではなく、どれだけうまく鞠を制するか(リフティグ)相手が取りやすいように返せるか(アシスト)を競い合いあい、楽しむものという。
実際にこの目で体験できるいい機会だ。昔の文化を復活伝承しようとする熱意で始められたこの行事は、今年も1月15日に枚岡神社境内で催される。
(写真は昨年の蹴鞠の様子) |
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赤い実をついばむヒヨドリ。(写真左)
大きさは、スズメとハトの中間ぐらい。
目の下後方の茶色が特徴で、鳴き声は、ピーヨとか、キーヨと甲高いという。
写真は、美味しい実に囲まれ、いかにも満足そうな様子に見えるが、虫や花の蜜も好物の大食漢らしい。
ヒヨドリの中には、都会に進出する開拓者もいて、街のど真ん中で出会う機会もありそう。
ひよどりの こぼし去りぬる 実の赤き
蕪村
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精悍な目つきで雄姿を見せるのは若いオオタカ(写真左)。池島弥生橋の欄干の上に止まって獲物をねらう気配をみせている。成鳥のオスで50センチ、羽を広げると106センチぐらい。胸腹は白く、背は黒くなる。
オオタカは食物連鎖の頂点にいて、もともと個体数は少ないが、環境省のレッドデータリストでは、「絶滅の危険が増大している種」とされている。
生駒山麓に大型の猛禽類が棲めるのは、生態系が安定しているあかしだろう。山麓や恩智川治水緑地の環境保護の大切さがわかる。 |
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去年の暮れは、積もるほどの降雪はなかったが、今年は降るだろうか。
雪には功罪があるが、雪が降ると、あたりの雰囲気は一変し、今までとは違う世界が出現する。見える姿ばかりでなく、まわりから聞こえてくる物音も違ってくるから不思議だ、しーんと静まりかえる中、雪の降る音だけが聞こえるのも趣がある。
ことに、日頃から静かな境内はなおさらで、参道をゆく人たちの雪を踏みしめる足音が聞こえてきそうだ。
(写真右は去年の参道の雪景色) |
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去年は、2月に入って早々に雪が降った。梅の中でも早咲きの種類は雪と遭遇したようだ。
(写真左は去年の枚岡梅林)
紅の花と雪の白のコントラストが鮮やかである。
残りたる雪に交れる梅の花
早くな散りそ雪は消ぬとも
大伴旅人 |
生駒山麓風物詩シリーズ2
生駒山麓風物詩シリーズ1
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国定公園の指定を受ける生駒山麓は、大阪府下では数少ない自然の貴重な地域として広く知られています。府民はもとより、府外からも四季の移り変わりを求めて、登山やハイキング等に訪れます。「枚岡自然と文化愛好会」は、生駒山の四季と、そこに悠久の昔から鎮まる枚岡神社の神事、行事を写真等をもちいて記録に残し、我々の大切な文化として、次の世代に伝えることを目的としています。
写真提供:「枚岡自然と文化愛好会]
会長 石橋 勇
(左の写真は、活動の一環として近鉄枚岡駅の休憩室を飾る四季折々の会員の作品) |
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