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2011年2月20日掲載
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奈良時代の天皇から一般の人びとまでの歌を集めた万葉集。 これに歌われた植物を万葉植物と呼んでいます。
鑑賞用から実用的なもの、現在では雑草とされるものまで様々。 私たちが住む東大阪でも見られる万葉植物を順にご紹介します。 花の名のひらがなは万葉名、カタカナは現代名です。 |
<レポート:酒野>
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さなかづら サネカズラ (マツブサ科)
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若い実 & 青い実 |
夏に咲く 淡黄白色の花
つぼみ & 花 |
万葉集では、さなかづら・さねかづらと詠まれています。以前はモクレン科とされていました。関東以西の山地に自生する、常緑木質のつる性の植物です。
2センチメートルほどの蝋細工のような小さな花は、光沢のある厚い葉に隠れていて、気がつかない人も多いようです。 |
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印象的な赤い実
小さな球が集まったような実は、緑色のときは目立ちません。でも、晩秋の赤く色づいたものは、はっとさせられるほど鮮やかです。
歌意は、『山のさな葛の葉や実が色づくまで、あなたに逢えないまま私は恋い続けていなければならないのでしょうか』というもの。晩秋の赤い実と紅葉を併せて詠みこんでいます。文中の「もみつ」は、「紅葉(もみ)つ」の意味です。 |
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赤く熟した実 & 叢生
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つる & 葉 |
別名、美男葛
茎などから出るねばねばした液を、昔は男性の整髪料として用いたことから、ビナンカズラとも呼ばれます。茎は、春から夏には、直立します。一方、晩夏から秋に伸びるものは、つる状になって縄のようにからみ合う性質があります。 |
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『逢う』の枕詞 |
このつるのようすから、“さね葛”は、『逢う』の枕詞として用いられています。両方の歌に『逢う』という言葉が入っているのはそのためです。歌意は、『将来は逢えるかしらと、夢で祈誓(うけ)い続けるばかりで年は過ぎてしまいます』というもの。祈誓とは、古代日本の占いのこと。柿本人麻呂の作です。サネカズラは、みんなが目にする植物ではないのですが、当時の人々がよく観察していたことに驚かされます。
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熟しはじめた実 & 蝋細工のような花 |
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さて、余談になりますが、写真はサネカズラの仲間のマツブサです。樹皮から松ヤニの香りがするところから名がつきました。最近は、『まつぶさワイン』もつくられているようですが、万葉集にこの実を詠んだものはないようです。やはり、みてくれなんでしょうか・・・。 |
“松房”をご紹介
写真:樹げむ舎 ホームページより
http://www.geocities.jp/greensv88/jumokuF.htm |
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<万葉植物探訪シリーズ>以下は 既報の植物 クリックで見られます |
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