2015年11月30日掲載
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東大阪美術センター会場パネルより |
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お断りとお願い ・ここに掲載されている絵の写真は加工されており実物とは色調など異なります。
・掲載の写真の無断転載、二次使用はご遠慮ください。
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鬼たちとの出会い
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東大阪市民美術館 鬼語る展の会場 |
東大阪市民美術センター全景 & 生駒山近景 |
鬼といえば、修験道の開祖・役行者(えんのぎょうじゃ)が、生駒山中に棲む鬼の夫婦を改心させ、人を救う行脚(あんぎゃ)に同行させたという伝承がある。その生駒西麓のアトリエで制作された作品が、生駒山を見上げるここ東大阪市民美術センターで展示されることに不思議な縁を感じる。 |
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女流墨彩画家の阪口真智子さんは、異色の画家。本名は織田(おりた)真智子。少女時代から画家に憧れるも、家の要請で薬剤師の道へ。しかし思いは断ちがたく、鬼という描きたい対象に出会ったことで絵の道を続けることになります。薬学の博士号をもち、大学で教鞭をとるかたわら漢方の知識をいかした食のデリバリー事業も展開します。忙しい中での制作は超人的です。 |
阪口真智子さん
鬼が来たりて鬼と遊ぶ やまなみプラザ墨彩画展にて |
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おんな鬼の躍動美
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ロビーの展示 ①&② |
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異形の姿でありながら、なんと妖艶なおんな鬼たち。
ロビーに展示された作品群にまず度肝を抜かれます。一度にこれだけ多くの阪口真智子さんの大作に触れられるのは幸運です。
奔放で躍動感あふれるしぐさには目を奪われました。
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しかし、どのおんな鬼の作品にも共通するのがきりっとした眉と、媚(こ)びない表情です。柔らかでしなやかな女性美の内面に、したたかな強さを感じさせます。 |
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チクッと世情を風刺
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二階に上がると、鬼たちがいっぱい。おんな鬼に比べてなんとも滑稽なおとこ鬼たち。
世の常識にとらわれ、あたふたと生きる鬼たちの喜怒哀楽に、「それでいいの?」と、突っ込みがはいります。ちょっと見る角度を変えることで、鬼社会、いや人間社会の嘘や欺瞞が見えたりします。
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鑑賞している人に感想をたずねると、「言葉にはっとさせられた」・「つい自分を振り返った」との返事でした。心に響いた言葉をメモに書き留める方も見うけられます。 |
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阪口さんの絵は、弱い者の立場に立って描かれているようです。
世の不条理の被害を一番多くかぶるのは弱者です。物言えぬものたちの声を代弁するかのようです。
そういえば、鬼も永い歴史の中で忌み嫌われ、いわば疎外された存在。その鬼たちが絵の中で解放され、水を得た魚のように縦横無尽に動き、語りかけます。 |
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それでええんや!人間賛歌
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阪口さんの絵は、人間の弱さをそのまま認めます。人間、がんばってもどうしようもないときがあります。
「押してもだめなら ひいてみな ひいてもだめなら あきらめろ」と、語りかけます。
周りからの「がんばれ」との期待の重圧にもがいているとき、「あなたはもう十分がんばってるよ!」という声かけに心が軽くなります。 |
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会場では、しばし絵と向き合っておられる入場者の姿が多く見うけられます。そのお一人に、いちばん印象に残った絵を伺いました。「どれもいい」と迷ったあげく、一枚を示されました。 |
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それがこの絵。笛吹けど踊らずということわざがありますが、一生懸命やってもわかってもらえない悲しさ。自分の姿をそこに発見します。
絵は、「あなたのせいでなく、世間はそいうものなんだよ」と、慰め励ましています。 |
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絵について感想を話し合ったり、絵にまつわる自分の体験を話す人もおられます。おもわず笑いがうまれたりして、会場には穏やかな時が流れます。 |
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この展覧会で、阪口真智子さんが描く鬼たちの表情の豊かさには今更ながらおどろかされました。
泣いたり笑ったりといった単純な変化だけでなく、ちょっと自信なげな表情だとか、強がっているけど本音は臆病など、感情の機微がみごとに描きわけられています。まるで、本当の鬼たちをモデルにしているようで、人間観察力の鋭さを痛感させられます。
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新しい表現に挑戦
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絵巻物風の大作 ①&② |
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今回の展覧会では、阪口真智子さんの新たな挑戦が注目されます。長年のファンも初めて見たという大作の絵巻物風の作品がそれ。旺盛な制作をすすめる女流墨彩画家の今後の活躍に目が離せません。
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<動画> 東大阪市民美術センター企画展
阪口真智子 鬼語る展
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<動画> 東大阪市民美術センター
ナイトミュージアムの集い |
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協力:東大阪市民美術センター
ルポ:N・駒・楢よしき 校正:駒
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