2016年3月13日掲載
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元井珈琲/マウンテンの珈琲道 |
珈琲道 |
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第34回郷土文化講演会 大阪商業大学ユニバーシティホール蒼天にて 講演する 元井 健さん
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元井 健氏のプロフール
1955年(S.30)奈良県生まれ
中京大学中退
1977年(S.52)UCC上島珈琲入社
1982年(S.57)UCC独立めざし退社
1988年(S.63)東大阪四条町に
「元井珈琲」創業
1993年(H.5)近鉄瓢箪山に
「マウンテン」を開業
※西日本を中心に多くの店舗を展開
2008年(H.20)中国北京に会社
「北京活力珈琲有限公司」設立
※コーヒー豆の買い付けは、ブラジル
やコロンビアなどに出向いている。
(郷土文化講演会資料より) |
元井 健さん |
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元井珈琲/マウンテン の店内 |
コーヒーの世界で、一目も二目も置かれる存在の元井さん。業界歴39年、焙煎士歴30年で、SCAJ日本スペシャルティコーヒー協会 コーヒーブリュワーズ委員を務めます。
最近は、中国の北京活力珈琲(Beijing Wholly Coffee)有限公司の経営にも参画しています。
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元井さんの真骨頂は、原料のコーヒー豆を、自分の目と舌で確認すること。どのような土地で、どのように育てられているかを確かめて、現地で買い付けます。
農場主や働く人たちとの交流も、信頼関係を築く上で大切な仕事です。人々からは、貴重な情報がもたらされます。 |
元井さん グアテマラの高地(1900M)にて |
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コスタリカでのカップテイスト風景 |
元井さんは現地の農場に、「花の香りがする豆を」などと、ブティック・コーヒー※を注文できる関係を築いてきました。
そして、これまでに培ってきた珈琲のすべて(知識・感性・技術・人脈)を、後進の若手に伝えることが、元井さんの望みであり楽しみでもあります。
※「限定」された小さな農園が生産する
「質」の高いコーヒー |
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若手を育てる,元井珈琲/マウンテン |
見慣れぬ
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元井珈琲/マウンテン で修行するお二人
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今、元井珈琲/マウンテンでは、二人の若手が修行中。
長谷川裕加(はせがわ・ゆか)さんは、大阪生まれの大阪育ち。学生のとき、アルバイトで高級ホテルのロビーラウンジで働きました。同じ豆と道具立てなのに、淹(い)れる人によってエスプレッソの味が違うことに気付きます。
自分にしか出せない味で、お客さんに喜んでもらいたいと思うようになりました。 |
長谷川裕加さん |
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ジャパンラテアートチャンピョンシップ出場の長谷川さん |
もっとおいしいコーヒーを提供できないかと、コーヒー専門店や洋菓子のコーヒー部門で働く中、海外のコーヒー事情に興味が湧いてきました。そんな時、雑誌で元井さんのことを知ります。さっそく店にやってきた長谷川さん。マスターの知識量に驚き、この店で修行することを決意しました。 |
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この店にやって来てまる2年。今では、マスターやフランチャイズの店主たちと一緒に、中南米への買い付けに同行します。
農場主や働く人たちの手間をかける仕事ぶりに接し、「豆を大切にしなければ」と、肌で実感しました。 |
生産現場で学ぶ長谷川さん |
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長谷川さんの目は子どもたちにも注がれる |
海外で交渉できるように、英語やスペイン語をものにしたいと語る長谷川さん。各種大会への出場を重ね、カップテイスター全国大会へも出場を果たしています。
将来、おいしい珈琲の味を提供するだけでなく、豆が育つ土地の雰囲気までも味わってもらえるようにしたいと、抱負を語ってくれました。 |
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もうお一人は、最近この店に入った横田敦さん。大阪生まれの神戸育ち。20歳を過ぎて喫茶店経営に興味をもちました。アルバイトで経験をつんでいるとき、ある著名なバリスタ※の仕事ぶりを間近に見ることができました。ここからさらに、コーヒーへの探究心が高まります。
※バリスタ・宮前みゆきさん ジャパンバリス
タチャンピオンシップ2007優勝、世界大会
4位&ベストカプチーノ賞受賞 |
横田 敦さん |
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独立めざし修行する横田さん |
UCCで仕事をはじめ、店長も経験した横田さん。しかし、もっといろんなコーヒー豆のことを知りたいという欲求は強くなるばかり。美味しいと噂の高槻の喫茶マウンテンに行きました。そこのオーナーに、「元井珈琲で修行した」と聞かされ、さっそくやってきました。 |
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そして、このとき、不思議な縁のつながりに驚きます。自分に大きな影響を与えたバリスタが、日本チャンピオンに挑戦するとき、コーヒー豆を提供してもらったのが、なんと、元井さんだったのです。
今は、2年間みっちり修行し、独立することを目指します。 |
良い香りが漂います |
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長谷川さんと横田さん、お二人の歩みはそれぞれ違います。しかし、どちらも、珈琲道を真剣に模索する中で、元井さんの店に辿り着いたようです。
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大きくはばたく後進たち |
手早く |
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プエンテ珈琲 & 店内 |
ここは新石切。石切神社参道沿いのプエンテ珈琲。コーヒー豆・器具の販売がメインの店。オーナーの田中清高さんは、元井珈琲/マウンテンで修行しました。初めて元井さんに会ったとき、1つ質問すれば10返してくれる。「この人と仕事できたらおもしろいだろう」と、直感しました。 |
田中清高さんと奥さん |
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2013年に独立してこの店を構え、海外への豆の買い付けは、元井さんと一緒に出かけます。 |
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プエンテはスペイン語の“架け橋”という意味。コーヒー豆の作り手と、コーヒーを味わうお客さんとの橋渡しをするいう決意をこめた命名です。
元井珈琲/マウンテンを巣立った若手が、大阪のコーヒーの世界で大活躍する姿を見せてもらうことができました。 |
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元井さんの願い |
食事と |
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次世代の日本のコーヒー文化
を担ってほしい
元井さんは、愛するコーヒーの世界を、次世代につないで欲しいと考えています。しかし、今あるものの物まねでは駄目と指摘。食生活や食文化は、時代とともにどんどん変わります。日本人の好みの変化をつかみ、それに対応する必要があります。今後、生産現場に直接オーダーするブティック・コーヒーが盛んになるだろうと予測します。
若い人たちには、「自分の味」を生み出し、発信してほしいと願っています。 |
焙煎中の 元井さん |
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後進にエールをおくる 元井さん |
基本をしっかりマスター
「しかし」と、元井さんは続けます。基本を身につけないと、アレンジする力は育たないと断言。
①コーヒー豆を農産物と認識できる力 ②焙煎の技術 ③抽出の技術 の三点を総合的に身につける必要性です。
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元井さんは、締めくくりにこんなエピソードを話してくれました。自分がこのような総合力が必要だと悟ったのは、2000年(平成12年)だというのです。生産地のブラジルに初めて赴いて、それまでのコーヒーの概念が覆されたといいます。後進の人々には、「常識」にとらわれず新しいことに挑戦してほしいと語ります。元井さんはこれからも、若い人たちにエールをおくり続けます。
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取材を終えて
今まで私は、珈琲道を、なにか確立されたもののように感じていました。しかし、その本質は、人々に寄り添いながら変化・発展していくものだということを知ることができました。
元井珈琲で修行した人たちが、次世代の日本のコーヒー文化を拓いてゆかれることを期待したいと思います。 N |
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<動画>珈琲道 若手を育てる
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動画ニュース |
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ルポ: R・駒 楢よしき 校正:駒 |
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