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2019年2月26日掲載 |
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写真:国際宇宙ステーション AieXander Cerst 撮影 (台風24号 2018) |
わが鳩まめ倶楽部には、環境問題に関心のある方が多くおられます。ある
日の編集会議で、「地球温暖化を扱ってみたら・・・」という提言がありました。
いかにも大きな問題。しかし、だれも避けて通れない現象が進んでいます。
蟷螂の斧(とうろうのおの)ですが、テーマに挑戦することにしました。
分量の関係で、上・下にわけて発信します。下巻では東大阪の問題にも触
れたいと考えます。皆様の忌憚の無いご意見をお寄せください。
index
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国土交通省 気象庁作成 クリック:拡大
異様気象一覧←クリック |
ピラミッドが雪に覆われる(2013年)
165年ぶりの光景 nevarまとめより |
みなさんご存知のように、世
界中で気候が変になっている
という報告が相次いでいます。
気象庁がまとめた記録は、
昨年度1年間だけのもの。い
かに異常気象が多発している
か分かります。 |
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スーパーセル(超大型積乱雲)アメリカ
日本でも2017年8月愛知県で発生
5000回の落雷を観測 |
さて、四季豊かといわれる
日本はどうでしょう?「かなり
おかしい」との声が増えてい
ます。
気象庁では「過去30年の
気候に対して著しい偏りを示
した天候」を異常気象と定め
ています。昨年の日本は、ま
さに誰もが感じる異常気象の
オンパレードの年※でした。 |
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※ ①熱波・猛暑 ②7月豪雨(梅雨のないとされる北海道でも集中豪雨)
③関東は史上最も早い梅雨明け(梅雨帯が東日本から西日本に南下
する異常) ④線状降雨帯の形成 ⑤台風の大型化 など |
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シロクマの危機
ハテナブログより←クリック |
このように、世界的な気候変
動は動かしがたい事実です。
しかし、その原因をどこに求
めるかは、意見が分かれてい
ます。大きく分けて三つ。
①地球温暖化に求める説
②地球の寒冷化(氷河期)説
③事実誤認・陰謀説 |
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年々深刻化する気候変動。具体的な対策を打たなければ
なりません。いつまでも議論の行方を待っていては手遅れに。
私たち市民がこれらを選択すべき時期にきています。 |
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衛星画像:デジタル台風 |
「世界的気候変動はそもそも嘘の陰謀だ」とする説は、絶大
な権力をもつ現アメリカ大統領の主張です。その影響力は計
り知れません。前大統領の温暖化対策はすべて破棄。脱炭
素の国際的枠組み(パリ協定)から脱退を決めました。 |
アリゾナ州、フェニックスを襲う砂嵐
(資料写真) ←クリック
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この大統領の行動の背景に
は、支持母体・ラストベルト
の石炭・鉄鋼産業を意識した
政治的な意図があると見られ
ています。でもこの主張には
「気候変動はない」という科学
的根拠や、「陰謀」の証拠は
示されていません。
政治的影響のわりには科学
的論議の対象にはなりません。
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もう一つの説は、現在の気候変動の原因は、地球が氷河期に
入ったからだというものです。極端な説では、あと20年で地
球は小氷河期に入るとします。 何万年という地球の大きな循
環運動により地球は寒冷化していると唱えます。したがって、
エコ(eco)などの「温暖化対策」は無益有害だと主張します。 |
南極氷河の海岸線 |
この説は、数千・数万年単位
の気候変動を根拠にしていま
す。しかし、産業革命後たかだ
か250年間に起きた急激な変
化は説明できていません。
しかも、「寒冷化が原因で異
常気象が起きる」という気候メ
カニズムの解明も、その根拠
となる資料がみあたりません。 |
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今一番信頼をおけるのが温暖化説です。大型台風の発生や、
ジエット気流の蛇行、集中豪雨、超大型積乱雲の発達など、現
実に起きている異常気象が理論的に解明されます。また、ス
パコンの活用で、ある程度の未来予測が可能となっています。
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全国地球温暖化防止活動推進センター 資料 |
温暖化の原因とされるのが
温室効果ガス。太陽からの熱
を地表にためる働きがありま
す。なければ地球は凍り、多
すぎると高温になります。
温室効果ガスの大半をしめ
るのが二酸化炭素(CO2)。
これが産業革命以来の石炭
・石油の燃焼によって激増し
たため、温暖化を招いている
とします。CO2などの温室効
果ガスの排出コントロールで
気候変動や異常気象にアプ
ローチする説です |
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さて、大まかに3つの説を紹介しました。事実誤認・陰謀説
を選択すれば、あなたは何もしなくてよいことになります。氷
河期が近づいている説をとれば、これも地球の自然循環にま
かすしかありません。しかし、温暖化説をとるならば、その主
な原因となる二酸化炭素(CO2)を減らす行動(脱炭素)に
立ち上がる必要があります。
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③脱炭素は暮らしも変える
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COP23((国連気候変動枠組条約第23回締約国会議) |
国際社会は気候変動に危機感を共有し、1992年(平成
2)の地球サミットで、脱炭素をめざす気候変動枠組み条
約を締結しました。第1回の国連気候変動枠組条約締結
国会議(COP1)を開いたのが1995年(平成7)のベルリ
ンでした。それから毎年開催されています。京都議定書が
採択されたのがCOP3(1997年)。パリ協定が締結された
のがCOP21(2015年)です。パリ協定のあと、脱炭素の
取り組みは、政界より市民・NGOと経済界の方がリードし
始めています。 |
ウィンド・パワーかみす第2洋上風力発電所小松崎都市開発 |
世界銀行グループは、脱炭
素に消極的な銀行や企業へ
の資金停止を決め、同じく欧
州復興銀行は、石炭採掘・石
炭火力発電所への投融資を
禁止しました。
海外大手投資会社は、環
境問題に後ろ向きな企業に
投資しなくなりました。こう
して、マネーの流れも確実に
変化しています。
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新潟東部太陽光発電所 |
政府がパリ協定を脱退しよ
うとするアメリカでも、市民
と民間企業の脱炭素の動き
は止まりません。
日本の銀行・企業も、世界
から取り残されないよう対策
を強めています。
今や政治の思惑や制約を乗
り越え、世界の人々が手をつ
なぐ新時代に入ったようです。
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BRAVE ANSWER ホームページより |
回収されたペットボトルキャップ |
今、世界では、脱炭素の運
動と連動する様々な取り組み
が進んでいます。循環型社
会をめざす取り組みもその一
つ。日本ではもったいない精
神で省エネ・省資源に取り組
む活動が個人や企業にも広
がっています。シェアの習慣
も根付いてきました。 |
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また、石炭・石油に頼らない再生可能エネルギーの開発は
商業ベースにのるようになりました。脱炭素を目指す取り組
みは、さまざまな運動形態をとりながら、今や、未来社会※の
姿をかいま見せてくれるまでに成長しています。
※自然との共生、森林保護、緑豊かな都市空間、循環型社会3R運動
、節電・省資源、自然エネルギーの開発と普及、食料やエネルギーの
地産地消、エコ社会、スマートシティー構想、災害に強い街づくり、有
機農業、シェアリングや不用品のオークションの拡大等 |
シェア自転車の取り組み |
気候変動の時代に生きる私
たち。異常気象を止めること
と、それが招く災害を予防する
ことの二つを同時に解決しな
ければなりません。
しかしどんなに大きな問題で
も人間が原因で起きたことは、
人間が解決できるはず。
地球人の力で地球の歴史と
未来社会は大きく変わるでし
ょう。世界では、未来を生きる
若者たちの動きが活発化して
います。心強いことです。 |
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レポ:F・村上 A・福田 楢よしき 校正:駒
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