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2021年4月11日掲載 |
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「変わったお寺がある」との編集会議での情報。境内に縄文時代の竪穴式
すまいが再現されているという。情報の本人も境内には入っていないとのこ
となので、その目的を確かめようということになりました。
そのお寺とは、横小路町の高台にある天嵐山・醍醐寺です。
index
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生駒山西麓 天空の禅寺
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横小路町 新池の土手から |
横小路1丁目 標高70mの高台 |
生駒山麓に不思議な寺がある、との
情報が入りました。境内に縄文時代
の竪穴式住居のようなものが建って
いるというのです。そうであれば、た
しかに変わったお寺です。
さっそく横小路町に出かけました。
山手にある池の土手に登ってお寺
を見ると、山城か砦(とりで)のような
構えです。
下界を見下ろす高台の寺は、まるで
天空に建つているように感じます。 |
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外から見るとたしかに、竪
穴式住居のような屋根と、南
洋の島で見るような屋根も見
えます。屋根の様子から、古
いものでなく、最近建てられ
たものとわかります。
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階段を登ると、門には篆書
体(てんしょたい)の字で、
醍醐寺(だいごじ)とあります。
門をくぐり、挨拶に伺うこと
にしました。 |
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住職の 吉本太玄さん |
住職は臨済宗妙心寺派の
吉本大玄さん(72歳)。
奥さんと、地域で保護司の
活動を精力的にされている
山川喜敬さんの三人に出会
えました。
境内はきれいに整っていて
気持ちのよい雰囲気。
しかし、地域をよく知る
山川さんから、3年前までは
大変な荒れ寺だったと聞か
されました。 |
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山川喜敬さん 住職の吉本大玄さん 奥さん |
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住職の大玄さんは60歳で得
度した晩成の方です。縁あって
静岡の浜松からやってこられま
した。寺の荒れようを見てびっ
くり。しかし、その年の5月に
花園ラグビー場から打ち上が
った花火を下に見た体験から、
立地の値打ちを実感し、寺の
復興に取り組む決意を固めま
した。
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大玄さんの前職は庭師さん。
それも、天龍寺ご用達の仕事
もされるほどの技術の持ち主
です。資材さえあれば、何と
かできる力があります。
しかし問題は資材の調達。
寺に収入はありませんから
地域の人に頼るしかありませ
んでした。
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山川さんをはじめ、地域の人々の力を借りること3年で、こ
こまでやり遂げたそうです。裏庭には石材が置いてあります。
さらに蓮池をつくる計画とか。大玄さんは、これからも復興に
磨きをかけるつもりのようです。
では、竪穴式住居のようなものは何なのでしょう。その場
所に案内してもらいました。
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体験できる寺へ
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棟をのぞいてみると、そこは座禅を
組む場所になっていました。
藁ぶきの屋根が外の音を吸収、中
は静寂に包まれています。
質素なつくりは、気を散らさず心を
集中させてくれます。
まるで縄文の胎内にいるかのような
安定感が得られそうです。
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ここの資材の調達も、お金
をかけずにおこなったとか。
大玄さんの並々ならぬ力を
感じさせます。この場所で、
座禅の体験をすれば、大玄
さんのパワーをもらえそうな
気がします。 |
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さて、もう一つの棟に案内してもら
いました。ここは、茶室になっていま
す。あちこちから資材を集めました。
「この壁の装飾には、テーブルの廃
材を利用しています」と、大玄さん。
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壁飾りはテーブルを利用 |
美的な感覚にも優れておられます。
ここでは、写経体験もできます。
障子窓を明けた目の前に、河内平
野の景色が広がります。
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写経台 |
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寿老人 |
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住職の大玄さんから、「醍醐寺では
ちょうぶつの体験もしてもらえます。」
と言われました。「ちょうぶつって何
ですか?」と聞き直しました。
木や石から仏さまを彫りだすことで、
彫仏だそうです。仏さんの見栄えの良
し悪しでなく、無心に木に向かうこと
に意味があると説明されました。
彫刻刀は貸して頂けます。素材の木
は持ち込みもいいとのこと。
コロナ禍で、心が疲れ気味の昨今。
世俗を離れ、天空の禅寺「醍醐寺」
で、座禅、写経、彫仏によって心を平
穏に保ちませんか。 |
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<動画> 天空の禅寺 天嵐山・醍醐寺 体験できる寺
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さて、復興を成し遂げつつあるこの
天嵐山・醍醐寺。歴史的に、かなり
古いようです。山川さんのお父さん
が関わられた歴史調査の仕事では
創建は、はっきりとわからないもの
のかなり古くからの伝承が残されて
います。
今から1100年ほど前、当時は真
言密教の寺で、醍醐天皇が祈願さ
れ、「醍醐庵」と呼ばれるようになり
ました。そののち、後醍醐天皇も立
ち寄り、足利高氏降伏の祈願をされ
たといいます。
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御本尊を中心に 西国三十三霊場の観世音菩薩像 |
御本尊の聖観音立像(木彫漆箔) |
住職の大玄さんは、いろい
ろな変遷を経てきた寺の歴
史を丸のまま受け止め、尼寺
だった痕跡を示す墓石も丁重
に扱っておられます。このよ
うな住職の心の寛容さを示す
場所が、境内のあちこちに
見受けられます。
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小ぶりの茶碗バスが池で咲くのは初夏 |
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盛衰と変遷を繰り返して
きたお寺ですが、この地に
1000年以上存続している
というのは、地元の人々の
継続した力があってのこと。
天空の寺「醍醐寺」のさら
なる隆盛を願って、お寺を
後にしました。 |
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<動画>醍醐寺 天空の禅寺の 花まつり
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天嵐山 醍醐寺
所在地 |
〒579-8063
東大阪市横小路町1-2-53 |
電話
FAX
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072-926-1418
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宗派 |
臨済宗妙心寺派 |
札所 |
昔、河内西国霊場だった |
体験 |
座禅、写経、彫仏
事前連絡が必要 |
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取材:東野 楢
編集:楢よしき 校正:駒 SE:クニヒコ
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