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2021年12月12日掲載 |
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東大阪ツーリズム振興機構(一般社団法人)が募集している体験プログ
ラムのパンフレットのある箇所に目が留まりました。「大阪の地下を横断す
る巨大な地下河川立坑の見学会!」とあります。“地下河川”や“立坑(たて
こう)”ってなんのことでしょう?「普段立ち入ることが出来ない」というキャ
ッチフレーズにも興味が湧きます。現場の寝屋川南部地下河川若江立坑(以
降:若江立坑)の見学会に参加し、見たり聞いたりしたことをみなさんに
報告することにしました。行ってびっくり!そこには驚くべき光景がありま
した。あわせて施設の重要な役割についてもお知らせします。
index
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地下の巨大空間
若江立坑に入る
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正式名はずいぶん長い |
ここは若江西新町。中央環
状線沿いで、西の第二寝屋川
とにはさまれた場所。敷地内
に高い建物は見当りません。
体験ツアーに参加の人々が
集まっておられます。見学を
サポートするのは二つの部署※
の方々です。
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※大阪府都市整備部河川室 河川整備課 都市河川グループ
寝屋川水系改修工営所 建設課 企画防災グループ
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この建物が立坑の入口だった
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若江立坑の説明を受けました
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かなり重要な施設らしい |
立坑に入る前にレクチャー
を受けました。どうやら浸水
や洪水の被害を食い止める
ための施設のようです。早く
入りたい気持ちから、気もそ
ぞろです。いただいたパンフ
レットをあとでゆっくり見る
ことにしました。どうやらあ
の小さな建物が地下につな
がっているようです。
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息を呑む光景
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係りの人たちの案内で小さ
な建物に入りました。階段を
降りて行くと急に巨大な空間
があらわれました。息を飲む
光景です。参加のみなさんも
迫力に圧倒されています。 |
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水位計は過去の水位を示します |
この巨大な空間は、大量の雨が降っ
た時、雨水をいったん溜めて浸水を防
ぐためのものだそうです。過去になん
ども活躍したようで、コンクリートの
壁面に痕跡が残っています。
この広い空間の8割ほどに水が溜ま
ったこともあるとか。私たちの目に見
えないところで浸水を防いでくれてい
ます。
大きなトンネルは、若江から西の大
阪市の地下へとつながっています。
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この異空間に目をつけたのが映画会社。撮影場所とし
て利用したそうです。 |
撮影場所に利用されている |
しかし、それにしてもこ
んな巨大な施設がなぜ必要
なのでしょう?あらためて
いただいたパンフレットに
目を通しました。そこには
わたしたち市民が知ってお
くべき情報が書かれていま
した。
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東大阪市の水害を防ぐ
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市庁舎から東の方角 |
パンフレットには寝屋川流域という文字があります。普段
見慣れない言葉ですが、何をあらわしているのでしょうか。
調べてみると、大阪市東部を含む12市※で、東大阪市も入
ります。淀川とつながる河川が流れるのが共通です。
※大阪市、守口市、枚方市、八尾市、寝屋川市、大東市、柏原市
門真市、藤井寺市、東大阪市、四條畷市、交野市 |
古代の河内湖と 現代の寝屋川水域 (図1)
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この寝屋川流域は大昔には
大半が河内湾の海の底でした。
河内湖の湖底だったこともあ
る低湿地です。(図1)
まわりに比べ土地が低いこ
とは流域の南北縦断面の模式
図(図2)を見れば一目瞭然。
私のような素人でも、洪水
や浸水の心配のあることがわ
かります。
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寝屋川流域 南北壽断面図(中央環状線沿い断面) (図2) |
(図3) |
寝屋川流域では、内水域
(図3)が面積の4分の3を
占めます。ここは土地が川
よりも低いのです。(図4)
すでにお気づきのように東
大阪市はその大半が内水域
にあります。大雨となれば浸
水はまぬがれない土地なの
です。このため大阪府が対
策をとり、昔のような水害は
起きていません。 |
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(図4) |
しかし近年、温暖化の影響もあってか、各地で集中豪雨
が多発しています。このとき寝屋川流域のネックと考えら
れているのが京橋口だそうです。寝屋川水系の水が集中し
ています。(図5) このことを初めて知った参加者が多
いようです。猛烈な雨のとき、京橋口に川の水が一気に集
まり、水害が起きる危険があります。わたしたち東大阪市
にも甚大な被害が及ぶでしょう。そうならないため総合治
水対策が寝屋川流域全体で進められています。 |
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河川の水が京橋口に集中 (図5) |
その対策の一つが、地下河川の建設計画です。(図6)
京橋口は大阪城北側の都心部で、川幅を広くする工事
は現実的ではありません。そこで、地下河川計画が立て
られました。川の水を京橋口に集中させず分散させ、寝
屋川流域の水害を防ぎます。 |
地下河川計画(図6) クリック:拡大 |
地下河川をつくるシールドマシン
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現在、工事は進行中で、地
下では掘削のシールドマシ
ンが活躍しているといいます。
図7の緑の部分が完成すれ
ば 地下河川が完成します。 |
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(図7) |
南部地下河川の完成で、東大阪市などに降った豪雨の水
は、大阪市を流れる木津川へと速やかに排出されます。
また、完成までにも地下河川の空間は、調整池として東
大阪市を襲う豪雨の水を溜めてくれることがわかりました。 |
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見学会の最後に、現場の方
から東大阪市民に伝えてほし
いと伝言を託されました。
・大雨の時はお風呂の水を流さないよ
うにしてください。
・排水溝・側溝のごみをためないよう
にしてください。
・できれば雨水を貯めるようにしてく
ださい。
みんなの力で浸水被害を減
らせるそうです。
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若江立坑見学会会場 |
若江立坑の見学会では、参
加者は異空間体験だけでなく
地下河川計画の大切さを理解
できました。私たち鳩まめ取
材陣も大切な情報を伝える機
会を得たことをうれしく思い
ます。現場で応対頂いた皆様
ありがとうございました。 |
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<動画>地下河川 若江立坑に入る
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取材:R.山口 Y.山口 楢
編集:楢よしき SE:クニヒコ
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