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2025年1月8日掲載 |
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みなさま、明けましておめでとうございます。近頃、世間では正月気分が早
く抜けてしまうので味気なく感じます。松の内まで正月を感じたい人間は少数
派になったのですね。さて、正月第二弾は、年頭インタビューを送ります。
インタビューに応じていただくのは、前田正道さん。近鉄花園駅北側にある
まちの駅・ひだまりを活動の拠点にして、地域活性化、地域のつながりつくり
など精力的に活動されています。前田さんのこれまでの活動と、新たに取り組
まれる活動を通して、まちづくりの未来の展望について考えていきたいと思い
ます。ご視聴ください。
index
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前田正道さん (大阪府認知症介護指導者) まちの駅・ひだまりにて |
前田正道さんは、東大阪のまちづくり・福祉関係で知られ
た方。東大阪の今後のまちづくりについて意見を伺うため、
活動拠点の“まちの駅・ひだまり”を訪問しました。
2025年の年頭に、みなさまにお伝えします。 |
まちの駅 ひだまり |
まちの駅・ひだまりの指針 |
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AQUA行政書士事務所
行政書士・終活アドバイザー 三島雅子さん |
前田さんが活動するまちの
駅・ひだまり(以降:ひだまり)
は近鉄河内花園駅の北側にあ
ります。今日は、お達者くら
ぶ主催の“すこやか食堂”が開
かれているところでした。
協力のマルタマフーズグル
ープの㈱笑顔会のお二人が昼
食づくりを担当します。
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同じく協力者で行政書士三島雅子さんが、パワーポイント
の画像で分かりやすく「終活ワンポイント講座」を進めます。
マルタマフーズの平野三恵子さんは、健康運動指導士とし
て体をケアする体操などを指導されていました。 |
マルタマフーズ 地域連携事業開発室
平野三恵子さん |
マルタマフーズグループ ㈱笑顔会
広報:大野理子さん リーダー:高橋伸誠さん |
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70歳以上が対象の「すこやか食堂」 まちの駅・ひだまりにて |
今日の昼食とデザート |
頭と体の体操のあと、デザ
ートのプリンに生クリームを
のせます。笑いがあちこちで
起きます。
和気あいあいとした楽しい
集いを見せてもらいました。 |
健康麻雀 ひだまり記録ビデオより
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三島雅子さんの 法律解説
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子ども食堂 ひだまり記録ビデオより
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ひだまりでは、コミュニテ
ィーカフェを常設にしながら
様々な集いが持たれているよ
うです。子ども食堂、おとな
食堂、健康麻雀、パソコン教
室やスマホ教室など、地域の
人びとの要望に応えます。
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おとな食堂 ひだまり記録ビデオより |
つながりカフェ ひだまり記録ビデオより |
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ひだまりは、Wi―Fi完備でプロジェクターやスクリーンが
備わっています。研修や会議の場として利用できそうです。
地域の人がつどい、つながれる場として発展をめざす前田さ
んの姿勢がうかがえます。 |
<動画>まちの駅・ひだまり訪問 |
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②前田さんの歩み
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「集いの場の会」で助言者として
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「集いの場の会」で助言者として |
前田さんが人権について考
えはじめたのが近大の大学生
のころだそうです。部落問題
・在日コリアンの差別問題を
知り、人権法学研究会を結成
し、活動しました。
大学を卒業して間もなく議
員秘書となり政治の世界に入
ります。
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このあと、前田さんの生き方を変える二つの出来事が起き
ます。一つは、自身の父親の介護です。介護をはじめて3年
目には父親に認知症の症状がでました。このころ介護制度が
整っておらず、7年間寄り添う中でヘルパー2級の資格をと
りました。前田さんは、「大変だったが、父は私に生きる道
を学ばしてくれた」と語ります。 |
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「集いの場の会」で助言者として |
その後、2人の在宅の障が
い者を10人ぐらいのチーム
で援助することになりました。
このことが二つ目の出来事
です。チームで支える大切さ
を学ぶなど、得ることがたく
さんあったと振り返ります。
政治の世界から介護者の道
へ歩み出そうと心に決めたの
がこの頃だったそうです。
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コミュニティカフェ ひだまり(当時) ひだまり記録ビデオより
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米田由美子さん ひだまり記録ビデオより |
この花園商店街にあった郵
便局跡にコミュニティーカフ
ェひだまりを開設したのは1
3年ほど前のことです。盟友
とも呼べる米田由美子さんと
の二人三脚の活動でした。 |
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花園百円笑店街 ひだまり記録ビデオより
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前田さんたちは、介護事業
は地域とのつながりが大事と
いう立場で、地域商店街との
連携を一貫して大切にしてき
ました。また、東大阪の福祉
・介護の団体や、まちづくり
団体とのつながりを重視して
きました。
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花園ラグビーワールドカップ ひだまり記録ビデオより
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集いの場 ひだまり記録ビデオより
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集いの場助言者 ひだまり記録ビデオより
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2024年、前田さんに転
機が訪れます。長年一緒に活
動してきた米田さんが郷里に
帰ることになりました。
また、20年間介護事業を
おこなってきた(有)ノーマル
ライフを、全国展開する介護
事業会社に法人譲渡する決断
をしたのです。 |
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コロナ禍を経験し、介護職員の人材確保の困難さなどの将
来を考え、また利用者に安心してもらうためにも必要との判
断でした。その後介護事業は順調に継続・発展しており、こ
の決断は正しかったと前田さんは語ります。 |
愛知県大府市認知症介護研究研修センター |
一方、前田さんは念願の認
知症介護指導者の資格を獲得
しました。愛知県にある研究・
研修センターで約3か月を要
す課程を修めました。東大阪
市で四人目という快挙です。 |
ビオスの丘(善根寺町)
社会福祉法人仁風会 HPより |
また、去年の4月からは大
阪、奈良を中心に介護・福祉
・社会貢献事業等をおこなう
社会福祉法人仁風会の顧問に
迎えられることになりました。
前田さんにとって激動の年
だったようです。
現在、“共生社会”の実現に
むけ新たな決意を燃やされて
います。 |
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介護の事業はまちづくり事業と両輪で進める必要がある、と
語る前田さん。今年の具体的な取り組みを聞きました。
前田さんは、共生社会の実現に向けた取り組みの3つのアプ
ローチを語っていただきました。 |
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➂一つ目のアプローチ
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認知症施策推進関係者会議 6月20日 JOINT 介護ニュースより |
医療タイムズ社サイトより
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一つ目は、認知症に対する
私たちの認識を転換させるこ
とだといいます。「認知症に
なったら何も出来なくなる」
といった考えから、「認知症
になっても、希望を持って自
分らしく暮らし続けることが
できる」という新しい認知症
観の普及です。
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この意識の転換の為には、認知症の人を支える環境が
今よりもっと整わねばなりません。前田さんは今年こそ
環境が大きく前進する可能性のある年だと言います。 |
まちの駅 ひだまりの指針
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新しい認知症観に基づく基本計画
閣議決定 2024/12/3
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というのも、認知症の人や
家族の運動もあって、政府は
新しい認知症観に基づく基本
計画※を定めたのです。
今年の1月1日に施行され
ました。認知症の当事者の声
を取り入れ、共生をめざす画
期的な内容とのことです。
※共生社会の実現を推進するための
認知症基本法
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この基本計画を活用し、認知症の人も安心して暮らせる
地域の共生社会の実現に向け努力することが、前田さんの
一つ目のアプローチです。 |
④二つ目のアプローチ
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ビオスの丘
社会福祉法人仁風会 HPより
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二つ目は、前田さんが仁風
会の顧問の仕事をしている現
場での外国人介護職とのコミ
ュニケ―ションに関わる問題
です。現在、職員の4分の1
が外国人で、これからその比
率は下がることはないといい
ます。
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外国人の介護士 東海テレビ報道より |
画像クリック:拡大 |
現場でのコミュニケーショ
ンの良し悪しは、介護の質に
も影響します。よいコミュニ
ケーションを実現するために
、前田さんは日本人スタッフ
の側に提案していることがあ
ります。その内容は、外国人
スタッフが理解しやすいやさ
しい日本語を話しましょうと
いうことです。やさしい日本
語講座への参加も呼びかけて
います。職場の日本人スタッ
フの半分は、すでに講座を受
けているそうです。
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ハンディネットワークインターナショナルサイトより
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まちの駅 ひだまりの指針
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社会福祉法人 仁風会 顧問
前田正道さん
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前田さんは、これからの日
本経済は、外国人労働者抜き
では考えられなくなると言い
ます。地域でもやさしい日本
語を広め、外国人やその家族
が、安心して暮らせる多文化
共生社会を実現したいと語り
ます。やさしい日本語の普及
が、前田さんの二つ目のアプ
ローチです。
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⑤三つ目のアプローチ
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東日本大震災 避難場所 時事通信より |
南海トラフ地震想定図 MDS youtube より
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東日本大震災、能登半島地
震など、日本が地震大国であ
ることは国民みんなが知って
います。南海トラフ地震が起
きたらどうしようと、不安は
拭えません。その時に備えて
対策をとることは大切です。
防災の基本は “自助”です
から。
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三重県社会福祉協 避難訓練より
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しかし、と前田さんは続け
ます。そのとき自分で避難が
できない、困難を抱える多く
の人がいることを忘れないで
欲しいと。
災害時に、誰一人置き去り
にされることのない防災対策
を進めることが、前田さんの
三つ目のアプローチです。
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上越妙高タウン情報より |
まちの駅 ひだまりの指針 |
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前田さんはこれらのアプローチで、誰もが安心して暮らせ
る地域づくりをめざします。認知症を、言葉の壁で苦しむ人
を、災害弱者をヒトゴトにせず、ジブンゴトとして捉えまし
ょうと呼びかけます。前田さんの目指す未来の地域社会像を
みなさんはどうお感じになりましたか。 |
防災士 前田正道さん
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現在の世界を覆っている自
己責任の世界観。これとはま
ったく真逆の世界観を感じま
す。みなさんはどちらの世界
に住みたいですか。
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「弱者が守られる社会は、みんなが住みよい社会」ではな
いか、という前田さんの問いかけの言葉で締めくくります。
前田さんの年頭のインタビューへの御協力に感謝します。 |
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取材: 楢
編集:楢よしき 校正:葵 SE:クニヒコ
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