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2021年6月14日掲載 |
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最近、和菓子店の白穂のことがテレビで取り上げられています。懐かし
い思いで見せてもらっていました。というのは、9年前に店主の新澤さん
のお店を取材させてもらっていたからです。当時、若いながら高い技術を
もたれていることに驚かされました。昨年には、石切に二号店を出されて
います。あたらめて取材を申し込むと、快諾していただきました。
石切店で話をうかがうと、新澤さんからは、おススメの店の紹介の範囲
を越えた経営論や人材育成の話が泉が湧くように出てきます。その一つ
一つが貴重に思われたので書き留めました。オススメのパターンにすれ
ば異色のレポートとなりました。
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菓匠庵 白穂 石切店 店内 |
菓匠庵 白穂 石切店 |
昨年9月オープンの和菓子
店 菓匠庵 白穂 石切店。
目の前を東高野街道が通り
ます。古より、京と高野山を
結ぶ由緒ある道。戦国時代に
は名だたる武将が往来した歴
史ある街道に面します。生駒
山が間近に迫る立地です。 |
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菓匠庵 白穂 本店
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本店は若江岩田にある有名
店。最近、テレビなどのメデ
ィアによく取り上げられる白
穂ですが、実は、9年前に取
材していました。お若いのに
製菓技術の高さに驚いた記憶
があります。二号店を開店し
た新澤貴之(しんざわたかゆき)
さんにお話を伺いました。
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二代目 菓匠庵 白穂 新澤貴之さん |
まず、9年前からの心境の
変化をたずねました。
新澤さんは、この間に東大
阪に根をおろす覚悟が固まっ
たとおっしゃいます。
東大阪の風物や歴史などに
関心が出てきて、そんな年齢
になってきたのかと、はにか
みます。
和菓子づくりとともに地元
を大切にしたい想いが年々
膨らんできたといいます。
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新澤さんの和菓子づくりや経営のど真ん中に、地元愛が培わ
れてきたのではないでしょうか。 |
よもぎカステラ |
東大阪夕景菓「ええとこ」 |
石切店で新たに開発された
のは「よもぎカステラ」。石
切参道のよもぎ餅やよもぎう
どんに使われ親しまれている
よもぎを活用しました。また、
生駒山麓から夕日に染まる河
内平野をイメージした東大阪
夕景菓「ええとこ」も生れま
した。地元の特徴やよさを創
作に生かす姿勢です。。 |
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きっと日本一大きい「大粒いちご大福」 地元産の大粒いちごを使用 |
地元農家の新玉ねぎを活用 |
過去、新澤さんは素材にも
こだわり、日本全国のおいし
いものを探しました。しかし、
結論は、地元で採れるもの
が一番というシンプルなこと。
例えばイチゴの出荷は、ま
だ熟さない青いものです。市
場に着いて赤くなります。地
元で完熟のイチゴを朝受け取
るのとは雲泥の差です。
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地産地消は、鮮度や味の面でも大切なことを実感した新澤さ
んは、この経験から、地元産の素材の活用を本格化しました。 |
新玉ねぎを使った 新玉ちゃん と 玉ねぎパイ |
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地元のいちご農園や、玉ねぎを
つくる農家と連携、新しい創作和
菓子を次々と誕生させています。
地元農産物の価値に触発され
た新澤さん。創作意欲はますま
す高まりそうで目が離せません。 |
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夕日に染まる河内平野 (東大阪石切温泉 ホテルセイリューからの景観) |
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若くして家業を継いだ新澤
さん。家族経営から社員を抱
えるまでに大きくなっていま
す。経営面で苦労もあったの
ではないでしょうか。
新澤さんは、福利更生だけ
でなく、働き甲斐のある職場
・若い人が意欲の湧く環境づ
くりを心がけています。
地元でお世話になる店とし
て、働く人の採用は地元を原
則にしています。雇用による
地元への還元になります。
地域に根づき、共に栄える
心意気です。
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石切店の包装紙 と 落款文字未来 |
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本格和菓子の世界 |
全国和菓子協会から優秀和
菓子職に認定され、コンテス
ト受賞も数知れずの新澤さん
に、和菓子の世界をどう見て
いるか、直球の質問をぶつけ
ました。新澤さんの回答は明
快。和菓子は時代で発展する
もの。伝統を守るためには、
今までの和菓子の常識を離れ
て行動する必要があるという
のです。 |
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涼しげな 水まんじゅう |
くわしくお聞きすることに
しました。新澤さんは、和菓
子についてまわる「古くさい」
というイメージの刷新を目指
します。まず、和菓子職人の
白い作業着はやめています。
作る製品も今の時代感覚に
合うものを大胆に模索します。 |
子どもたち、若者たち向けに和菓子づくり体験の機会をもっ
ています。面白いことを経験し、自分で作ったものは美味しく
食べてくれるそうです。和菓子に親しむ人を底辺から広げる
取り組みです。石切店のロゴマークの落款文字「未来」は、和
菓子の明るい未来を切り拓く決意なのでしょうか。 |
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和菓子職人の育成も新澤さ
んの重要な課題です。大学や
製菓学校の講師としても活躍
されています。育成について
たずねると、菓子づくりの手
腕と経営感覚を育てるように
しているとのことです。
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永い人気の白穂焼 つぶあん と こしあん |
伝統工芸菓 「はさみ菊」 |
しかし、技術については優
先しないとの意外な答え。そ
の子の芯を作ってあげること
が大事といいます。無理強い
しないが、どうすればできる
かは示す。本物を知らせると
本人に欲がでてくる。若い人
はかしこいですよ。と、目か
らうろこの話が出てきます。
昔の徒弟制度とは違う新し
い指導者像を感じます。
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季節のお菓子 「若あゆ」 |
さらに驚いたのは、レシピ
化の話。勘や経験でなく、配
合や温度などを数値で若い人
と共有するという方針です。
昔の「親方の技を盗め」と
いうあり方と百八十度違いま
す。自身の技術をデータにし
て伝えるというのです。
そして、「一つ作って利益
はいくら」という健全な経営
感覚も育てています。
和菓子界のみか日本の伝統
産業の未来に関わる、器の大
きい数々の話を聞けました。
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「東大阪ごきげんさん」 |
オススメの店としての取材
でしたが、あまりに貴重な話
なので異例のレポートとなり
ました。若い経営者の意気高
い仕事ぶりに、心洗われる気
がしました。
さて、味の話で締めくくり
ます。甘党の方にはどれもオ
ススメですが、甘党でない方
に私から一つご紹介します。 |
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地元の醸造メーカー星鶴の醤油を使った和風マドレーヌ。
新しい風味の「東大阪ごきげんさん」は、おじさんの舌も満
足させること請け合いです。 |
既報:オススメの店 菓匠庵 白穂 2012年記事←クリック
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<動画>菓匠庵 白穂 石切店開店
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菓匠庵 白穂 石切店
所在地 |
〒579-8014
東大阪市中石切町5-13-58 |
電話
FAX
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072-943-2222
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営業
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10:00~18:00
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定休日 |
毎火曜日
※祝日の場合は営業 |
駐車場 |
7台 |
HP |
https://www.shiraho.biz
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Insta |
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取材:楢
編集:楢よしき 校正:駒 SE:クニヒコ
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