2019年10月29日掲載
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“二兎を追うもの一兎をも得ず” と世間でいいます。でも、例外というのはある
ものです。大阪市で歯科医の三代目を継ぎながら絵画にも情熱を燃やし、今や
独立美術協会の正会員に。しかもそれだけでなく、多方面に能力を発揮する人
がおられます。額田在住の額田晃作さんがその人です。額田さんの自宅を伺い
ました・
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歯科医にして画家
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すでに、町ネタニュースで取り上げた額田晃作さん。今年の春に、あべのハルカス5周年記念として、「額田晃作油彩展“薔薇”」を開催。
その様子を取材させてもらいました。しかし、その場では額田さんその人を捉えきれませんでした。そこで再取材をお願いしたところ、快く応じていただきました。
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独立美術協会の正会員
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大阪歯科大学100周年記念作品 「緑の青春」(コピーより) |
恐るおそる門をくぐった取材クルーでしたが、歓待を受けて
ほっと一息。部屋にはエメラルドグリーンの絵のコピーが飾
られています。大阪歯科大学100周年記念に、同窓会から
母校に寄贈のため、額田さんが依頼されたものです。
題は「緑の青春」。実物は200号(長辺は2m半ほど)の大作。
額田さんの歯科医師としての立場と、画家としての仕事の
接点を物語る一枚です。
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エチオピア 「オモ河のほとりにて」 パンフレットより |
額田さんは、並みの画家で
は想像もできない修羅場を何
度もくぐってこられました。
アフリカの砂漠で寝泊りし、
治安の悪いところでは銃でわ
き腹をつつかれ、背中に石を
受けたことも。命の危険まで
冒して額田さんは、取材旅行
を長年続けました。
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第86回独立展出品作「ラリベラ」の前で |
エチオピアへは10数回。
その他、アフガニスタン・シ
リア・スーダンなど10ヵ
国以上にのぼります。なぜ
そこまでして遠い異国の地
しかも未開発地に題材を求
めるのでしょうか。 |
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名著出版 2015刊 クリック」:拡大 |
その答えは、作品が雄弁に物語るは
ずです。でも、そのほかに額田さんの
エネルギーの源を解明するよい手引
きがあります。額田さんが上梓した
写真集「愛しき、人類よ。」がそれ。
取材旅行で撮った写真に、氏の文が
添えられています。
現地での体験を語りつつ、氏の感性
がほとばしります。読ませていただい
て一番感じたこと。それは、「この人
は心底人間が好きなんだ」という感動
でした。額田さんの題材は、大和風景
ラグビー、薔薇と、多岐に及びます。
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画家の枠に収まらない多才
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「襤褸残照※・ぼろの美」 清文社 2000刊 |
スエーデン繊維雑誌 にも取り上げられる |
額田さんには、画業以外に
も国際的な評価を受ける分
野があります。それは襤(ぼ
ろ)の蒐集です。使い古され
つぎはぎだらけの昔の衣服
に美を見つけた額田さん。
「襤褸残照※・ぼろの美」とし
て写真集を出版しました。
それが世界的に注目を浴
び、本は“ぼろのバイブル”と
呼ばれるようになりました。
※らんるざんしょう |
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襤褸残照 ぼろの美 |
額田さんは、ぼろの着物
には、当時の母親が家族
のために一針一針心を込
めた思いが伝わってくると
いいます。貧しい暮らしの
人々に寄り添う感性が伝わ
ってきます。今もこつこつと
蒐集を続ける額田さん。ラ
イフワークの一つです。
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長屋門の一角にある工房にて |
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さらに額田さんの創作意欲
は他分野に及びます。陶芸
もたしなまれると聞いていた
ので、工房に入らせてもらい
ました。しかし、予想とは違い
そこはまるで職人さんの仕事
場のよう。額田さんの手であ
っという間にいくつかのきれい
な器の形が出来上がります。
その手際にはびっくり。
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それもそのはず、額田さんは
これまでに、個展を何度も開い
てこられ、東京・六本木での個
展をひかえているとか。陶芸作
家としても活躍されていました。
歯科医の仕事をしながら、油
彩・写真・陶芸・襤褸の蒐集と、
どれも一流の技の持ち主。
「天は二物を与えぬ」という諺
も例外があるようです。 |
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籠 と 文庫 |
そんな多才な額田さんですが
、物腰の柔らかい人物と感じま
す。歯科医という仕事柄からく
るのでしょうか。それとも、発
展途上国の人々にも敬意をも
って接する氏の人間観からくる
のでしょうか。
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昭和10年生まれ、84歳の額田さん、これからの仕事に話
が及んだとき、「私は120歳まで仕事します」と、おっしゃ
います。氏の意思の強靭さを感じた瞬間でした。
“次代を担う子ども達に望むこと”をたずねました。額田さん
は、高津高校での自身の体験をふまえながら、「せまい勉強
の仕方は面白くない。幅広く人間を評価してほしい」、「かつて
の高津がめざした『自由と創造』の教育であるべき」と、私たち
大人の責任を強調されました。 |
大きなクロガネモチの木の前で 額田晃作さんと倫子さん |
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奥さんの倫子さんには、屋
敷内を案内していただきまし
た。その時、内助の功という
言葉が、ふと浮かびました。
庭には、鬼瓦がさりげなく置
かれています。額田家の歴
史やご夫婦の歩みを陰なが
ら見守ってきたのではと感じ
つつお宅をおいとましました。
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ユーチューブ 陶芸の技を拝見
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取材:村上 福田 岸本 楢 編集:楢よしき 校正:駒 |
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