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ふるさと東大阪2013年9月4日掲載







 奈良時代の天皇から一般の人びとまでの歌を集めた万葉集。       
これに歌われた植物を万葉植物と呼んでいます。
鑑賞用から実用的なもの、現在では雑草とされるものまで様々。
私たちが住む東大阪でも見られる万葉植物を順にご紹介します。
花の名のひらがなは万葉名、カタカナは現代名です。
                                      <レポート:酒野> 

  
ねむ・ねぶ(合歓木) ネムノキ (マメ科)



           羽状複葉のようす
 合歓木(ねむ)は、マメ科の落葉高木で、7~9mにもなります。東北地方から九州までの山野に自生。
 葉は陽があたると開き、夜になると閉じあわされて眠ったように見えます。ねむの名はここからきているようです。
 夏に、昔のほお紅の刷毛(はけ)に例えられる美しい花が咲きます。先が紅色で下が白い、糸のようなおしべが集まって花となります。花弁は目立ちません。夏の初めから八月下旬まで咲いています。高木にたくさんの花が咲いている様はとても美しいものです。
 ※今の刷毛は濃い色の毛が多いですが、昔は白い毛を使っていました。先が紅に染まって、ねむの花のようでした。

      ネムノキの花  &  拡大

合歓木(ねむ)を詠みこんだ二首

 右の歌は、紀女郎(きのいらつめ)から大伴家持(おおとものやかもち)に送った戯歌(ざれうた)だといわれています。
 昼間は花が咲いて、夜になると恋い慕いながら眠る“ねむ”の花を、私一人で見るのでしょうか。花の枝を贈りますから、あなたもどうぞ見てください。
 と、うたいます。これに対して・・・。
 家持は、左の歌を送ります。
 
あなたが形見として贈って下さった“ねむは、花だけ咲いて実はならないのではないでしょうか。
 
こういえばどう返すだろうと、大人の言葉あそびやかけひきのおもしろさが感じられます。
 余談ですが、二人はねむの花も、夜は閉じて眠ると思い込んでいるようです。でも実際は、花は夜に開き陽があたるとしぼみ始めるのです。

やっぱりマメの仲間!


ねむの豆 
 花のあとにはサヤエンドウを細長くしたような実ができます。このとき、毎度ながら、ねむはマメの仲間だったんだと納得します。
 いかにもかよわい雰囲気のねむですが、薬用・食用・香料にも利用され、土砂崩れなどの崩壊地にも強く育つそうです。

    
 ここでもう一首、あまり陽の目をみない歌を紹介します。
 
吾妹子(わぎもこ)を 聞き都賀野辺(つがのべ)のしなひ合歓木(ねぶ) 
   吾は(しの)び得ず 間無くし思へば
          第十一巻
・二七五二
  都賀野のあたりの、ふっくらとしたねむの木。私は絶え間なく恋しく思っているので、人に隠すことができない。 と、うたいます。
 ふっくらと茂って花をいっぱいつけた合歓の木は、夢のような美しさですね。幸せな恋心を例えるのにふさわしいと思います。


 最後に、松尾芭蕉の句を紹介して終わります。奥の細道の最北の名勝でうたった一句です。
 
象潟の雨に濡れて咲いている“ねむ”の花は、傾城の美女といわれた西施が目を閉じて眠っているようだ。

 
雨の日のねむの花は、一層、憂いを含んで見えるようです。
                      ※クリックで写真は拡大します。
<万葉植物探訪シリーズ>以下は 既報の植物 クリックで見られます
その十七やまたちばな
その十三 わすれぐさ その十四 をみなへし その十五 さなかづら その十六 あふち
その九  しきみ その十 はちす その十一 まゆみ その十二 みつまた
その五 へくそかずら その六 うめ その七 つばき その八 まつ
その一 はぎ その二 をばな その三 ふぢばかま その四 うはぎ

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