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2021年2月8日掲載 |
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今回でシリーズ最後となるカンボジア訪問記です。カンボジアは豊かな
穀倉地帯であるがゆえ、他国の侵入がはげしく、宗主国が次々と変わる
過酷な歴史をもっています。近年は、残酷な政権による国民の虐殺事件
を引き起こし、キリング・フィ―ルドとして世界に衝撃を与えました。
荒木さんは、同時代に生きたひとりとして、この負の遺産に目をつむる
わけにいかないとカメラを向けました。負の遺産と世界遺産の二つの顔
をもつカンボジアからの報告です。
どーなってる東大阪編集部
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はじめに スースデイ(こんにちは!)
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カンボジア王国国旗 |
みなさんこんにちは!東南
アジアの旅の第5回目です。
シリーズ最終回はカンボジ
ア王国です。この国では旗
のモチーフにもなっているア
ンコール遺跡群と負の遺産
であるキリング・フィールド
についてご紹介し、ご一緒に
考えたいと思います。
フォトグラファー荒木康徳 |
ご注意:記事内にはショッキングな写真が含まれます |
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プノンペン市内 |
大衆的な交通手段 トゥクトゥクで移動 |
私は、ベトナムからバスで
カンボジアの首都プノンペン
に入りました。私が直行した
のはキリング・フィ―ルド。
ポルポト政権下で大虐殺
がおこなわれた刑場跡です。
私が生きている時代に起き
た惨劇として、目をそむける
わけにはいかないと思って
いました。
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ぱっと見は寺院のようだが・・・ キリング・フィールドの慰霊塔 |
敷地内の塔に近づいてギクッとしました。頭蓋骨が無数に並
べられていたからです。カンボジアで大量虐殺があった場所
は300ヵ所ほどあるといわれています。ここはその一つ。 |
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知識人・伝統文化継承者・
教師・宗教関係者などは要
らない人間とされ、家族全
員が殺されました。眼鏡を
かけた人、時計が読める人
なども殺されたといいます。
また学校や病院、工場な
ど文明と見えるものはすべ
て憎悪の対象とされました。
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穏やかで優しい仏教徒で
あった民衆は、ポルポト派
に扇動され、自国民の殺害
と破壊の「狂気」に走りま
した たった数年で国民の
1/3もが犠牲になり、社会イ
ンフラも徹底的に破壊され
ました。現在、街中で若い
人の比率が高いのも虐殺の
結果。負の遺産の傷跡はま
だ癒えていません。
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多くの乳児がたたきつけられ殺された木 |
少年兵が子どもを殺害する
仕事を手伝わされたとも聞き
ました。根底に、ベトナム戦
争での荒廃と貧困、農村部
と都市との貧富の格差があ
ると言われます。その不満
を利用されたのでしょうか。
私たちは、異国の歴史とし
て他人事のようにとらえてい
いのでしょうか。 |
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自分たちの国の過去と現
在、そして最近の世界の政
治を照らし合わせる必要を
感じますがいかがですか。
国と国、人と人との分断
と対立を煽る政治の行く末
は、大変危険であると考え
させられます。「人のふり
見て我がふり直せ」。外国
旅行の効用の一つです。 |
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②世界遺産アンコール遺跡群
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アンコールワット遠景 |
さて、かなり重い心を引きずりながらプノンペンを後にし
ました。バスで6時間の旅。巨大なトンレサップ湖の北に
ある古都、シェムリアップに向かいました。 |
アンコールワットと朝日 |
アンコールワット 入口
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ここに、世界遺産に登録さ
れているアンコール遺跡群が
あります。アンコールワット
やアンコールトムは誰もが知
るところです。きっちり見て
回れば1週間はかかります。
二つの遺跡の違いを聞かれ
ることがあります。ワットは
一つの寺院で、トムは王宮の
跡で、はるかに広大でした。
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アンコールワット 神々のレリーフ
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アンコールワット 中央祠堂仏陀涅槃像
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アンコールワット デバター(女神像)レリーフ |
アンコールワットを見回っ
て、ヒンズー教と仏教の両
方の雰囲気を感じました。
やはり、初期はヒンズー
寺院で、あとから仏教色が
加わったようです。でも全
体として違和感はありませ
ん。日本で神道に仏教が加
わり神仏習合したようなも
のでしょうか。
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アンコールトム南大門 アンコールトムへの入口 |
アンコールトム ピミアナカス
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多神教同志だから可能なこ
ことで、一神教がやってきた
場合は、こうはいかないかも
しれません。多神教のおおら
かさを感じます。巨大で精緻
な遺跡に圧倒されながら、日
本のこま犬のような像も見つ
け、同じアジア文化圏として
親近感を覚えました。
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アンコールトム タ・プローム カジュマルの木がからみつく |
アンコールトム バイヨン寺院 四面塔 |
遺跡の中にはガジュマルの
根が絡みついているものがあ
ります。遺跡保存には頭の痛
いことのようです。取ってし
まえば崩れるし、そのままだ
と木がどんどん成長するから
です。しかし、写真を撮る人
間としては熱帯を感じさせる
面白いショットです。 |
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仏教僧も見学に |
庶民信仰 |
現在のカンボジアでも仏教
が庶民の信仰を集めていま
す。お堂のような所では線香
の煙と供花が絶えません。
日本では放生会(ほうじょうえ)
で魚や鳥を放つ儀式がありま
すが、ここでは雀を放ってい
ました。
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雀を放つて功徳を願う人 |
観光客相手に風景画などを描く |
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タガメなどの昆虫や蛇などを商っている |
カンボジアの食で一番気
になったのが食虫習慣。現地
の食べ物をいただくのが私の
モットーですが、これは遠慮
しました。未来の食料資源と
して有望視されていても、個
人的にはその壁は越えられ
そうにありません。
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世界には多様な食生活が
あり、我々にも納豆というも
のがあります。お互いさまと
違いを認めあうことで、互い
の心の平和が守れそうです。
シリーズの最後になりまし
た。ご覧いただきありがとう
ございました。訪問した国々
で、日本人の私を大切にし
てくれました。 |
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ひるがえって、日本に来ら
れる人々が、同じように大切
にされることを望みます。
旅行中、旅する日本の若者
を数多く見かけました。異文
化に積極的に接する姿から
未来の明るさを感じました。 |
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プロフィール
フォトグラファー 荒木康徳
日本広告写真家協会会員
東大阪市本町在住
1948年(S23)生まれ。縄手
北小学校、縄手中学校、花園高校を
経て、現在の東京工芸大学、当時の
東京写真大学短期大学部卒。
大日本印刷に就職 東京市谷にあ
る企画部写真撮影部門の仕事に従事。
60歳を機に退職し、長年の夢だっ
た東南アジアの旅行を実現。
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写真・話 荒木康徳 聴取り:A福田、村上、楢
編集:楢よしき 校正:駒 SE:クニヒコ
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