今どうなってるの?!東大阪
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ふるさと東大阪2016年9月16日掲載
2016年11月7日一部加筆




写真は、「枚岡自然と文化愛好会」の提供です。

  秋の気配がしてまいりました。この夏は、オリンピックとパラリンピックで大変賑やかでした。日本人選手の活躍には心躍りました。特にチームワークの良さには感動ものです。どこでそんな資質が養われたのでしょうか?河内之國一宮「枚岡神社」の秋郷祭や行事での祈りの一コマとからめて考えてみたいと思います。

                 
                   
                 力を合わせて  


「ドシャ降り」 (枚岡神社秋郷祭)

 大雨の中を必死に担ぐ若者たちの熱気が伝わってくる、迫力のある写真です。頭の先からつま先まで、法被も地下足袋もビショ濡れです。祭りの雨は辛いですが、私たちにとっては恵みの雨です。この雨が、日本列島に森林を育みました。森林は、木材などの資源を提供するほか、洪水を防いだり、野生生物を育んだり、人々の憩いの場ともなります。現代では、地球温暖化を防止するという大きな役割もあります。私たちの生活や精神の土台には森林文化が根付いています。

 写真は神殿に向かう宮入りの風景。神社や祭りも木や森がなくては成り立ちません。神話では、天照大御神の弟、素戔嗚尊(スサノオノミコト)は、「植林の神様」でもあるそうです。舟を作る為に杉や楠、宮殿を作る為に桧、棺には槙をと、目的をはっきりと示して植樹をされたというのです。古代から人々は自然を大切にしていたことが神話からうかがえます。


「宮入り」 (枚岡神社秋郷祭) クリック:拡大

 一トンを超す太鼓台は、五穀豊穣に対する感謝を表すかのように、一糸乱れず、流れるように進んでゆきます。その姿からは厳
(おごそ)かな神意すら感じます。


「今日は獅子舞です」 (枚岡神社秋郷祭)  クリック:拡大

 15日の本宮祭では、御祭神が乗り移る神輿(みこし)が、猿田彦や獅子、稚児、巫女などを引き連れ、一の鳥居まで、布団太鼓台を迎えに行きます。悪霊を退治してくれる獅子舞は、伊勢から伝わったと言われています。その昔、はるばるインドから中国を経て、ライオンのイメージが日本に伝来したのでしょう。



「最高潮」 (枚岡神社秋郷祭)

 
 夜の
中担き(なかがき)のワンシーンです。太鼓台のとんぼや房、提灯が綺麗に揺れています。太鼓台や神輿を揺らすのは、神の神威を高めるため古代からおこなわれ、激しいほどよいとされています。担ぎ手と神が一体となる瞬間です。

 森のあるおかげで、日本列島には綺麗な水が流れ、稲作文化が発展しました。農耕には共同作業が必須。人々は誠実さや謙虚さ、我慢強さ、秩序やチームワークの大切さを身につけてきたようです。聖徳太子が唱えたという「和を以って貴しとなす」を、美徳だと感じるのもこういう背景があるのでしょう。
「踏み切りをわたる」 (枚岡神社秋郷祭) クリック:拡大    

 
 通称「がまん坂」という最大の難所を、歯を食いしばり、「チョーサジャ」の掛け声で担ぎ手が息を合わせ、太鼓台は坂を上っていきます。がんばれと声をかけたくなります。秋郷祭は、毎年
10月14日「宵宮祭」、15日「本宮祭」に開催されます



心豊かに


「佳き日」  (枚岡神社秋郷祭)
 可愛いお稚児さんが二人、石段で静かに微笑みあっています。化粧を施し、美しい衣装をまとった稚児は、神々しいまでに輝いて見えます。純粋無垢な姿と表情に、思わず見とれてしまう光景です。

「紅い風船」 (七五三詣) クリック:拡大

 枚岡神社には藤原家の祖先神「天児屋根命」(あめのこやねのみこと)が祀られています。氏神様として、お宮参りをはじめ、人生や季節の節目に、国家安泰や家族の健康を願い、大勢の地元民がお参りに来られます。写真の女の子は七五三詣でしょうか。じっと何かをみつめています。イチョウなどの落葉の色と、着物や風船の赤がとっても印象的。


氏神・・・同族の祖先神。鎮守神・・・一定の地域や造営物を守護する為に祭られた神。産土神(うぶすながみ)・・・生まれた土地の守り神。元々は性質の異なる存在でしたが、時代と共に同一視されているようです


「あかり」 (枚岡神社境内)

 
 先日のリオオリンピックでは日本人選手団が大活躍。日本人選手の「礼儀正しさ」「勤勉さ」「チームワーク力」等のよさ
が大いに発揮され、世界をうならせました。
 一方、私たちは
苔むした石灯籠に真っ赤な夕日が照り映える光景にも心が動きます。かすかな自然の動きを楽しめる豊かな感性は、森に守られた安心感からでしょうか。

 右の写真は森をバックに、新郎新婦や親族が集う風景。近頃の派手婚と比べ地味な感じです。しかし、大地を踏みしめた堅実な感じを受けるのは筆者だけでしょうか。枚岡の杜(もり)は穏やかに二人を見守ります。


「佳日」 (枚岡神社境内) クリック:拡大
  

文:K・東野   編集:楢よしき  校正:駒


   
 
       枚岡自然と文化写真展 
  
東大阪市民美術センター 2016・9・13~19
          

写真提供「枚岡自然と文化愛好会

 
国定公園の指定を受ける生駒山麓
は、大阪府下では数少ない自然の貴
重な地域として広く知られています。
 府民はもとより、府外からも四季の
移り変わりを求めて、登山やハイキン
グ等に訪れます。
 「枚岡自然と文化愛好会」は、生駒
山の四季と、そこに悠久の昔から鎮
まる枚岡神社の神事、行事を写真等
をもちいて記録に残し、我々の大切な
文化として、次の世代に伝えることを
目的としています。

       
会長  石橋 勇

シリーズ バックナンバー
シリーズ17 夏越の季節へ
シリーズ16 山麓に春 シリーズ34 日本人の感性を育んだ豊かな森
シリーズ15 晩秋から冬へ シリーズ33 悠久の時を感じて
シリーズ14 絆(きずな) シリーズ32 春を待ちわびて
シリーズ13 初夏の彩り
シリーズ31 新年を寿ぐ
シリーズ12 里山は冬から春へ シリーズ30 夏の終わり/秋の予感
シリーズ11 枚岡の新春神事 シリーズ29 夏~summer
シリーズ10下 生駒山の野鳥 シリーズ28 山麓の春景色 花鳥風人
シリーズ10上 生駒山の野鳥 シリーズ27 連綿と続く営み
シリーズ9 自然の営み シリーズ26 秋郷祭の熱気
シリーズ8 山麓にみる人間模様 シリーズ25 水の恵み
シリーズ7 祈りの象 シリーズ24 早春から陽春へ
シリーズ6 祭りの熱気 シリーズ23 健やかな暮らしを願う
シリーズ5 山麓の原風景 シリーズ22 雨の秋郷祭
シリーズ4 一帯は花盛り シリーズ21 夏にパワフル
シリーズ3 神津嶽  シリーズ20 春の予感
シリーズ2 布団太鼓の宮入 シリーズ19 笑門来福
シリーズ1 朝の紫陽花  シリーズ18 豊穣を祈る

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