|
2022年1月28日掲載 |
|
写真は「枚岡自然と文化愛好会」の提供です。オリジナル作品は
近鉄奈良線枚岡駅の両ホームの待合室に展示されています。 |
コロナの変異株オミクロンが猛威をふるっています。先の見えないこの
事態に、私たちは途方に暮れてしまいそうです。しかし目先のワクチンや
薬のことばかりでなく、悠久の歴史を誇る生駒山西麓の写真を見ながら
少し俯瞰的に私たち自身を見直す機会にしませんか。なにか見落としてい
るものが見つかるかもしれません。
index
|
|
|
澄んだ冬の日 |
生駒山から大阪平野が一望に見渡せます。いかにも
のどかな冬の日の光景。でもよくみると、山から急に平
野になります。生駒山西麓は急峻なのです。万葉集に
遣新羅使が山を越えて大和に帰る歌があります。
|
出雲井御神水 クリック:拡大 |
妹に逢はず あらばすべなみ
岩根踏む生駒の山を
越えてぞ我が来る
(巻十五・三五九〇)
(意訳)あなたに逢わないではいられなくて、岩を踏
んで険しい生駒山を越えて来たよ。
そういえば日本書紀で神武天皇
が生駒山を盾にしたナガスネヒコ
の軍勢に敗れます。生駒西麓はい
ろいろな歴史を経てきました。枚
岡神社のあるのが出雲井町。その
名の由来となったのが境内にある
出雲井。どうして出雲なの?と
歴史の興味が尽きません。
|
|
神さびる夜 |
さて、写真の題の「神さびる」というのは古語。古び
て神々(こうごう)しいという意味があるようです。
万葉集にこんな歌があります。 |
御食と御光 クリック:拡大 |
難波門(と)を
漕ぎ出で見れば神さびる
生駒高嶺に雲ぞたなびく
(巻二〇・四三八〇)
河内湾の入口にあたる難波門か
ら出た船。振り返ると海面からそ
びえ立つ生駒山が見えます。昔か
ら生駒山は霊峰で、山麓は神奈
備として崇められたようです。
その山麓では営々と神事が執り
行われています。 |
|
上に戻る←クリック
|
②艶やかな湯神楽神事
|
|
清め祓(ばら)いの湯立に神楽の要素が結びついて
成立したといわれるのが湯立神楽(湯神楽)です。
すでに平安時代には行われていたようです。 |
湯神楽に備えて クリック:拡大 |
御神子先に庭火を廻(まわ)り
湯立の舞を供す
「貞観儀式」
平安時代の記録にあるように湯
立と神楽の結び付きは古いもの。
枚岡神社の湯神楽神事では、神
楽の曲に乗って笹の葉で湯をまき
散らす巫女さん。まるで踊ってい
るかのように艶やかです。 |
|
上に戻る←クリック
|
③伝統と心の継承
|
湯神楽 |
神事へ |
縄文時代以来、日本ではあらゆる万物に神が宿る
ととらえ、それぞれの神を敬う風土が育まれました。
神道はその土台の上で開花し、神事や祭事にその
心が反映されているといわれます。 |
神に奉納 クリック:拡大
|
一時期、世界的に「野蛮な
多神教」との揶揄を受けまし
た。しかし、人間の環境破壊
で地球が危うくなっているこ
とがわかった今、自然を大切
にし共生する生き方こそが地
球を救う道だとわかってきま
した。
|
|
準備完了 クリック:拡大 |
神社では一年中、何らかの神事
や祭事があることでしょう。毎日
の過ごし方にも厳しい作法がある
はずです。しかし、これに携わる
神職の苦労は普段あまり見えてい
ません。「準備完了」のこの写真
は神事を支える人々のリアルな姿
を垣間見せてくれます。
「伝統を守る」というのは、「日
々の積み重ね」だという、当たり
前だけれども大事な真理です。
千数百年もこれが続いて来たか
ら今が在るのでしょう。 |
|
|
上に戻る←クリック
|
|
新会長 湊 守雄さん
|
写真提供:「枚岡自然と文化愛好会」
国定公園の指定を受ける生駒山麓
は、大阪府下では数少ない自然の貴
重な地域として広く知られています。
府民はもとより、府外からも四季の
移り変わりを求めて、登山やハイキン
グ等に訪れます。
「枚岡自然と文化愛好会」は、生駒
山の四季と、そこに悠久の昔から鎮
まる枚岡神社の神事、行事を写真等
をもちいて記録に残し、我々の大切な
文化として、次の世代に伝えることを
目的としています。
会長 湊 守雄
|
|
第17回枚岡自然と文化写真展 令和2年11月17日~23日
東大阪市民美術センターにて
|
|
|
<シリーズ バックナンバー>
|
上に戻る←クリック
|
写真提供:枚岡自然と文化愛好会
編集:楢よしき R.山口校正:駒 SE:クニヒコ
|
↑上に戻る
|
|
ご意見・ご感想をお願いします。 一番下をクリック ↓ |
|
トップページに戻る |
|